ニュース報道の現場から伝える「気候変動問題」 求められる「提案型ジャーナリズム」
東洋経済オンライン / 2024年10月9日 16時40分
こうした地域と共生する再エネ取材の記録は、放送後に「山口豊アナが見たSDGs最前線」というタイトルでYouTubeでも配信しています。特に、独自の手法で地熱発電の開発に取り組む業務スーパー創業者を特集した動画の再生回数は170万回以上に上りました。予想をはるかに上回る人たちが視聴してくれています。
「伝えるべきテーマ」が地方局にこそたくさんある
地方には手元足元にある自然資源を生かして再エネ導入に挑む住民や企業、行政などさまざまなステークホルダーが存在しています。だからこそ、気候変動対策に関する報道は地方局こそが「伝えるべきテーマ」を多く持っていると思います。地域に根ざし、継続して取材・報道し、その変化や成長の過程をきめ細かに発信できるのは、地方局ならではの強みですよね。
日本で再エネ比率が最も高い秋田県(注:地域的エネルギー自給率、永続地帯2023年度版報告書より)には、およそ300基の陸上風車が沿岸部に立ち並び、すでに県内の全世帯分を上回る規模の電力を生んでいます。この風車、最初の頃は県外の大企業が建設・運営するものが多かったそうです。しかし、都会の大企業が突然やってきて開発し、その利益を自分たちだけのために使うという当時の構図は、地域にとってはメリットがありませんでした。
その時、秋田の人々の中で、その状況を「まるで植民地のようだ」と捉え、そこからの脱却を図るために立ち上がる人たちが現れました。地域が主体的に関わる風力発電への挑戦を始めたのです。そして、地元の中小企業で連合を組み、町工場で部品を調達するなどし、地域と共生する風車を次々と建てていったのです。さらに今、秋田では洋上風力の建設も進んでいて、2030年以降には再エネ100%の県になるとされています。
こうした秋田県の洋上風力発電などの取り組みを伝える秋田朝日放送の特別番組「トレタテ!報道スペシャル 洋上風力の挑戦者たち~秋田発エネルギー革命~」(2023年)の制作に協力しました。その後も、秋田朝日放送との意見交換や情報交流を続けました。
求められているのは「提案型ジャーナリズム」
今、メディアが気候変動対策を視聴者に伝えるうえで必要なのは「提案型ジャーナリズム」だと考えています。メディアは批判的に物事を捉えます。もちろんそれは重要な役割ですが、人の失敗を取り上げて批判ばかりしていると、新しく何かに挑戦しようとする人たちが萎縮してしまう可能性があります。
この記事に関連するニュース
-
新刊「洋上風力発電の最前線と各種関連技術」(株)情報機構:書籍版/書籍+PDF版 発売
PR TIMES / 2024年11月26日 11時12分
-
日本企業向けに「バスク州洋上風力産業ウェビナー」を開催。バスク州と日本企業の協業促進を後押し
PR TIMES / 2024年11月20日 18時45分
-
スキージャンプ髙梨沙羅と行くパラオ、気候変動危機の最前線に迫る【大統領インタビューも実現】
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月11日 11時30分
-
洋上風力発電 事業者による協議会開催 漁業関係者「秋田県の漁業全体を考えて」
ABS秋田放送 / 2024年10月29日 17時59分
-
長期電力市場価格の予測シミュレーションサービスの共同開発について
PR TIMES / 2024年10月29日 11時0分
ランキング
-
1ダイソーで販売「グミ」に回収命令……「深くお詫び」 使用不認可の着色料を使用、5万7000袋を回収
ねとらぼ / 2024年11月26日 18時1分
-
2「運転する夫に『間違えてばっかり!』と怒鳴ったら、路肩に急停止。怖くて大ゲンカしましたが、私が悪いんですか?」投稿に回答殺到!?「お前が運転しろ」「料理してる時に言われたらどうする」の声も
くるまのニュース / 2024年11月26日 12時10分
-
3男女9000人超が答えた「好きな四字熟語」ランキング発表! 3位「明鏡止水」2位「初志貫徹」…圧倒的1位は?
オトナンサー / 2024年11月26日 21時10分
-
4風邪の初期症状の正しい理解と市販薬の使い方を知る…「ひき始めに服用する」わずか4%
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月26日 9時26分
-
5「50代でモテている男性」3つの特徴。見た目が渋くてカッコいい「イケオジ」じゃなくてOK
日刊SPA! / 2024年11月26日 15時52分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください