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ニュース報道の現場から伝える「気候変動問題」 求められる「提案型ジャーナリズム」

東洋経済オンライン / 2024年10月9日 16時40分

地元の人たちが主体となり気候変動対策をしながら地域経済を活性化している――こうした成功事例に光を当て放送することにより、「新しいことに挑戦する社会」の実現に繋げられないかと模索しています。視聴した人がポジティブな気持ちになれるような番組づくりは、テレビ報道だからこそできることの一つではないでしょうか。

私はアナウンサーという職種上、常に視聴者が前向きになれるような言葉を発信したいと、日々心がけています。気候変動対策を少しでもポジティブに捉え「自分も何か小さいことでよいから、できることから取り組み始めよう」と感じてもらえるような伝え方をしたいと思っています。

ある世論調査では、世界全体では6割の人が気候変動対策は生活を豊かにすると捉えているのに対して、日本では逆に6割の人が気候変動対策は負担だと感じているという結果が示されています。だからこそ、気候変動対策に取り組むメリットを具体的に示していく必要があります。

再エネを開発することが地域や企業の成長に繋がったり、住民側の支払う電気代が長期的に抑えられたりすることを伝えるべきです。例えば、沖縄県宮古島の太陽光発電と蓄電池に関する特集では、利用者の経済的メリットだけではなく、「災害時にも安心できる」というメリットを強調しました。

宮古島では多くの住宅に太陽光パネルと蓄電池を設置し、全体を束ねて運用することで、再エネをより安く便利に使うという最先端の取り組みが進められています。台風の被害が多い宮古島で、たとえ地区が停電しても、蓄電池のおかげで電気を賄えるようになったのです。「得をしながら気候変動対策ができる」ことをしっかりアピールできれば、視聴者の行動も変わってくるのではないかと期待しています。

こうした再エネ開発の最前線を取材してきた成果を2020年に、『「再エネ大国 日本」への挑戦』として出版しました。出版社の編集者からは「本を出したら人生が変わりますよ」と言われていましたが、本当に変わったというのが正直な感想です。いろいろな団体や企業の方々に声をかけていただき講演に呼ばれる機会が増えましたし、ほかにどのメディアも報じていない情報を得やすくなりました。気候変動対策に取り組むさまざまな人との繋がりが持てるようになったことが何よりの成果です。

気候変動に対する意識が高い若い世代

特に若い世代は気候変動に対する意識が高いと感じています。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)によると、私たちがこのまま気候変動対策を強化せずにCO2を出し続けると、世界の平均気温は2100年までに産業革命以前と比べ約3~5度近く上昇すると指摘されています。気候変動の被害をより多く受けるのは、これからの時代を担う若い世代なのです。

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