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ハリスもトランプも「米国に好ましくない選択」だ ジョン・ボルトン元大統領補佐官に聞く【後編】

東洋経済オンライン / 2024年10月11日 8時1分

トランプ氏が大統領になっても、ハリス氏が大統領になっても、国際的観点から言えば、アメリカにとって好ましいとは言えない。私に言わせれば、いずれも魅力のない選択肢だ。アメリカの同盟国から見てもそうだ。

トランプ氏は、北大西洋条約機構(NATO)であれ、日米同盟であれ、安全保障条約の重要性を理解していない。そうした取り決めが、当事者である同盟国すべてにとって価値があるということがわかっていないのだ。トランプ氏が復活するようなことがあれば、彼が同盟国に悪影響を及ぼすのではないかと、大いに憂いている。

ひるがえってハリス氏も、こと外交となると、副大統領としての3年半余りの間に学んだことくらいで、その経験は非常に限られたものだ。ハリス政権が誕生したら、少なくとも1年以上はバイデン政権の方針を大いに踏襲しそうだ。しかし、それでは、中国や北朝鮮、イランなどの脅威に満ちた世界にとっては不十分だ。

トランプもハリスも大統領にふさわしくない

――あなたがトランプ氏にもハリス氏にも1票を投じるつもりがないことは承知しています。一方、反トランプ派の代表と言ってもいいリズ・チェイニー元下院議員(共和党)も、彼女の父親であるディック・チェイニー元副大統領(注:ブッシュ<子>政権)も、ハリス氏への投票を公言しています。「国家」の安定を最優先し、ハリス氏に投票する一部の共和党関係者のように、なぜあなたはハリス氏に1票を投じないのですか。

トランプ氏もハリス氏も大統領にふさわしくないからだ。私にとって、それは「選択」であり、今回の大統領選では選択肢が存在しないのだ。甲乙つけがたい。私に言わせれば、いずれも不十分だ。

ディック・チェイニー氏がハリス氏への投票を明言したのには驚いた。私は、(無効票になっても)またチェイニー氏に投票するかもしれない。まだ決めていないがね。今でも彼を尊敬している。保守的な共和党員に投票したいのだ。それが誰であろうと、私が最終的に1票を投じるのは、そうした人物だ。

――トランプ氏が負けたら、何が起こると思いますか。2020年に続いて敗北を認めず、支持者らが連邦議会を襲撃した事件が再来するのでしょうか。

トランプ氏が負ければ、今回も選挙結果に異議を唱えるだろう。彼は2020年、まだ大統領執務室に身を置いていたとき、結果を覆そうとして失敗に終わっている。

ひるがえって今年、彼が選挙結果を知るのは、フロリダ州の私邸「マール・ア・ラーゴ」だ。プールサイドに座っているかもしれない。大統領ではない立場で結果をひっくりかえそうと試みても、前回に輪をかけて困難を極めるだろう。私はそうした試みがまた失敗すると確信している。

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