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ハリスもトランプも「米国に好ましくない選択」だ ジョン・ボルトン元大統領補佐官に聞く【後編】

東洋経済オンライン / 2024年10月11日 8時1分

世間では、あたかも「トランピズム」なるものが存在するかのようにいわれている。つまり、「イズム(主義)」と呼ぶべき哲学や理念があるかのように思われているが、実のところ、そんなものはない。すべてはトランプ氏の「特異性」でしかない。

彼の意思決定は、その場限りのものであり、必ずしも一貫性がない。損得勘定に基づいた取引なのだ。現時点ではバンス副大統領候補が後継者のように見えるが、継承すべき実質的なものは何一つない。

トランプ氏は、アメリカの政治において常軌を逸した存在だ。『スター・ウォーズ』のタイトル「A Disturbance in the Force」さながらに、アメリカ政治の「disturbance(混乱、かく乱)」そのものだ。ひとたび政界を離れたら、彼の影響力は急速に弱まるだろう。

――9月25日付ワシントン・ポスト紙の記事「The nativists have taken over the GOP(移民排斥主義者らが共和党を乗っ取った)」によれば、CNNの世論調査で、人種や民族、国籍の多様性が増すとアメリカ文化が脅かされる」と答えた共和党員は 55%に上るといいます。5年前は21%だったそうです。こうした状況下でも、トランプ氏の影響力はすぐに低下すると思いますか。

そう思う。(次期大統領選では)ほかの共和党指導者らが自らの将来をかけて競い合うだろう。トランプ氏は、まさに「過去」を象徴する候補者だ。これから先、何年も生きるだろうが、ジョニー・カーソン(注:2005年に他界したテレビ番組司会者・コメディアン)の話題など、昔話に明け暮れるだろう。

民主党はバイデン大統領に撤退を促し、次世代のために党を開放した。(ハリス氏の下で団結し)複数の候補者が名乗りを上げるような状況にならなかったことが、結果的に民主党にとって有利に働いた。

トランプ氏を好まない共和党支持者にとって、バイデン大統領が1年くらい前に撤退しなかったのはあまりにも残念だ。ハリス氏はトランプ氏より20歳近く若い。バイデン氏がもっと早く不出馬宣言をしていたら、共和党内で(トランプ氏では民主党の若い候補者に勝てないという認識が広がり)トランプ氏以外の候補者が選ばれ、彼の指名を阻むチャンスがあったかもしれない。

昨年のインタビューで、最も望ましいシナリオはトランプ氏の指名獲得を阻止することだと、私はあなたに話した。ほかの共和党候補者がバイデン大統領以外の候補者と戦うほうが、はるかにいい選挙戦になったことだろう。

共和党に有望な人材は多いが、「推し」はいない

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