ハリスもトランプも「米国に好ましくない選択」だ ジョン・ボルトン元大統領補佐官に聞く【後編】
東洋経済オンライン / 2024年10月11日 8時1分
トランプ氏には、もはやワシントンにいたころのような権力はない。その違いが、前回とは異なる非常に重要な点だ。トランプ氏の支持者らが再び議会襲撃のために結集するとは思わない。そうしたやり方では大統領選の敗北に対処できないことが彼らにもわかったはずだ。
(支持者らが結集しなければ)トランプ氏は腹を立てるだろうが、支持者らは、もはやトランプ氏のために自らを危険にさらすようなことはしないだろう。
――支持者離れが起こっているのでしょうか。
一部の層におけるトランプ支持は依然として非常に強固だ。彼らは選挙プロセスの正当性に不信感を持っているが、「結果」を受け入れることが大切だ。
トランプ氏が、選挙結果に挑む正当な理由があると思うのなら、(大接戦だった)2000年の大統領選で民主党のアル・ゴア候補が共和党のジョージ・ブッシュ候補(子)に対してやったように、トランプ氏もハリス氏に法廷闘争で挑めばいい。
だが、法的権利を行使するからには、ひとたび裁判所や行政機関が判決を下したら、もはやそれまでだ。敗北を受け入れなければならない。それが「民主主義」の基本だ。
――トランプ前大統領は先月、アメリカのメディアに対し、今年の大統領選で負けたら2028年に出馬する意向はないことを明らかにしました。トランプ氏の言葉を信じますか。
今回ばかりは、彼が「本当のこと」を言っていると思いたいね。二度と出馬しないよう願っている。そうなったら、私にとっては嬉しい限りだ。
――今回の大統領選は、今後何十年にも及ぶアメリカの「運命」を大きく左右するものだと指摘する専門家もいます。トランプ氏が敗北した場合、共和党に大きな希望の光が戻ってくるのでしょうか。
トランプ氏が勝っても負けても、共和党の将来をかけた戦いは続く。その覚悟はできている。というのも、国家安全保障の観点から見れば、国際情勢において、「強いアメリカ」による平和の実現というレーガン大統領のアプローチを信奉することが重要だからだ。
共和党員の中には、トランプ氏に1票を投じるとしても現状に満足していない人がわんさといる。彼らはトランプ氏のほうがましな選択だと考えているだけだ。仮にトランプ氏が負けても、4年後の大統領選で、ほかの共和党候補者が選ばれれば、きっとハリス氏を倒せるだろう。
トランプ氏はアメリカ政治で「常軌を逸した存在」
――あなたは前述のFPA主催記者会見で、トランプ前大統領が負ければ、「その影響力は、たちまち消え失せるだろう」と指摘しました。トランプ氏には、共和党が継承すべき「(政治)哲学・理念」がないからだと。
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