テスラ完全自動運転EV発表も実現性に疑問の声 2027年までの販売を宣言も技術と規制のハードルに直面
東洋経済オンライン / 2024年10月16日 8時20分
イベントの主役であるサイバーキャブだが、その主要諸元など技術的なことは、ほとんど説明されなかった。電気自動車を買おうと思う人なら誰もが気にするはずの、満充電状態からの走行可能距離すら触れられることはなかった。
サイバーキャブは完全自動運転なので、自動車を運転することよりも、その移動時間をほかのことに活用したいと考える人々がターゲットになる。顧客は自分で運転しないのだから、このクルマの馬力がどれぐらいか、充電当たり何km走るのかといったことは重要ではない。一方で、マスク氏はサイバーキャブの運用コストが推定で「1マイル当たり0.2ドル」と述べた。確かに購入前にしか気にしないクルマの仕様よりも、購入後にかかるコストのほうが顧客にとってより有益な情報かもしれない。
クルマの仕様についてはあまり語らなかったマスク氏だが、1つだけ、これまでにない新機能がこの電気自動車に搭載されることを明らかにしている。それは誘導式の充電機能が装備されるということだ。いわば、スマートフォンで普及しているワイヤレス充電の電気自動車版だ。この機能があれば、買い物から帰宅した際、荷物を家に運び込んだ後で、充電プラグを挿しにガレージに戻る必要がなくなる。
テスラは以前、サイバートラック用のワイヤレス充電機能を開発していると伝えられていたため、それがサイバーキャブ向けに用意されたとしても意外ではないが、サイバートラック用は後付けのオプション装備になると考えられていた。
ちなみにテスラは2015年に、あくまでスタディケースとして触手型自動充電プラグを公開していた。それに比べれば、ワイヤレス充電ははるかにスマートで実用的と思われる。
本来はModel 2だった?
振り返れば2006年、マスク氏はテスラの「マスタープラン」として、まず高級モデルを生産・販売し、その利益を低価格帯のファミリーカーの開発資金に充当するという計画を説明していた。そして、2012年に「Model S」、2015年に「Model X」、2017年に「Model 3」、2020年に「Model Y」を市場に投入してきた。
テスラが次に発売する車種は(2017年にサプライズ発表されてから音沙汰のないTesla Roadsterを除けば)、Model 3の下のクラスに位置するModel 2が予定されていた。Model 2では、ついに一般消費者が気軽に買える、1台当たり約2万5000ドルからの価格帯を予定し、2025年後半にテキサスの工場で生産を開始すると言われていた。
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