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テスラ完全自動運転EV発表も実現性に疑問の声 2027年までの販売を宣言も技術と規制のハードルに直面

東洋経済オンライン / 2024年10月16日 8時20分

ところが今年になり、テスラは中国市場で現地EVメーカーとの競争が激化し、売り上げが落ち込んでしまった。これまで維持してきた全電気自動車(BEV)の世界販売台数1位の座も中国BYDに脅かされ、かつての華々しさが霞みつつあるようにも見えた。BYDは、すでに中国で1万ドル前後で売られる電気自動車「シーガル」を含む複数の低価格車を販売している(アメリカは9月、中国製EVへの制裁関税を100%に引き上げたが、それでもシーガルはModel 2が目標とする2万5000ドルより安い)。

そんな矢先の4月、業績報告の場でマスク氏は、2025年に量産を開始するとされていたModel 2の計画を中止した。そして長らく構想を語ってきたという「ロボタクシー」に関するイベントを8月に発表し「テスラが自動運転フリートを運営することになる」と述べた(その後、8月の発表は10月に延期された)。

こうした流れと、今回発表されたロボタクシー(サイバーキャブ)の姿を見ると、もともとはModel 2だった車体からハンドルとペダルを取り払い、完全自動運転専用EVとして付加価値を高めようとしたのが、サイバーキャブなのではないかとも考えられる。

テスラの完全自動運転はいつ普及するのか

今年の春より、テスラはオプションとして販売している自動運転機能ソフトウェア「FSD」にアップデートを提供し、これまで名称に添えていた「ベータ版」という言葉を「監視付き」に変更している。

監視付きとは要するに、ドライバーが常に周囲に注意を払い、必要とあらば運転を引き継ぐために「監視」している必要があることを示している。アップデートによって、FSDの機能はさらに安全になったが、それでもまだ乗員の「監視なし」で、自動的に目的地へ到着できるには至っていない。

だが、マスク氏はこのイベントで、サイバーキャブが発売される前に、既存のModel 3とModel Yが「監視なし」の完全自動運転機能を備えるようになり、2025年にテキサス州とカリフォルニア州でそれが利用可能になると述べた。

長年にわたりテスラの技術動向をチェックしてきた人なら、おそらく「本当にそんなことが可能だろうか?」と思ったことだろう。本人も認めるように、イーロン・マスク氏のスケジュールに関する発言は大抵が楽観的であることは言うまでもない。

一般の公道上でハンドルやペダルのない「監視なし」の完全自動運転を行うには、規制当局による承認が必要となり、そのエリアも限定される。マスク氏の言うようにカリフォルニア州とテキサス州で2025年までにその承認が得られたとしても、テスラの監視なし自動運転車が走行できるのは、当面は限られたエリア内だけになると予想される。

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