「衆院選2024」日本経済は政権交代で良くなるのか 裏金問題などで自民党の議席数はどうなる
東洋経済オンライン / 2024年10月18日 10時0分
ちなみに、そのサッチャーの流れをくむ保守党政権が今年、14年ぶりに総選挙に敗北し労働党政権が代わって誕生した。14年ぶりに政権交代を実現させた労働党政権が、どんな経済政策を打ち出してくるかが注目されている。
<1998年 シュレーダー改革>
昨年、日本のGDPを追い抜いて世界第3位になったドイツ経済も、かつては低迷に苦しんでいた時期がある。
1990年代はドイツ経済が低迷を続けていた時期であり、それが2000年代に入ってからは奇跡の回復と言われる経済復活を果たしている。1998年から2005年に政権を取ったゲアハルト・シュレーダー首相が実施した「シュレーダー改革」と言われる経済政策だ。超党派による同意を取り付けた同首相が、戦後停滞していたドイツ経済を復活させたと言われている。
とりわけ注目を集めたのは、失業給付水準の引き下げと期間の短縮といった「労働市場」の改革だ。ミニ・ジョブ制度の拡充、自営業の促進等を実行した「ハルツ革命」によって、労働市場を活性化。さらに、医療保険制度や社会保障制度の改革にも着手し、後に続くメルケル政権時代の経済成長の礎を築いたと言っていいだろう。
日本の政権交代は成功できるのか?
さて問題は、立憲民主党の野田佳彦代表がスローガンに掲げている政権交代は、日本で成功できるかどうかだ。仮に、今回の総選挙で政権交代が実現しても、単独では無理で、複数政党の連立という形になるはずだ。
少なくとも、2009年の民主党による単独政権のような政権交代は難しい。選挙結果にもよるが、立憲民主党などが中心となる連立政権になるため基盤が弱く、政権が不安定になりがちだ。そもそも政権交代には、次のようなデメリットがある。
①政策の連続性が途切れるため、事実上政府機能が低下する
②国際的な信用度が低下し、条約や貿易協定が結びにくくなる
③政治家の権力意識が高まり、集票目的のポピュリズムがますますはびこる
この中で特に問題なのが、③のポピュリズム(大衆迎合主義)がはびこる、という点だ。現在の自民党政権も、わずか3割程度の得票率で、長期政権を維持してきたために、アベノミクスのようなポピュリズム色の強い政策が長期にわたって続けられた。
短期的には有権者の得になるような政策では…
現在の野党の経済政策も、「消費税減税もしくは廃止」「給付金支給」といった短期的には有権者の得になるような政策がズラリと並んでいる。政権交代が経済的に成功するのは、労働市場に大きなメスを入れるとか、移民政策を大幅に見直すといった、その国の根幹にかかわるような政策変更がなければ難しい。
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