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「日本一老いる村」の村長が訴える地方創生の現実 群馬県南牧村「コミュニティ崩壊が始まっている」

東洋経済オンライン / 2024年10月19日 7時40分

他力本願ではないけれど、農業がダメになっても、ある程度スムーズに通勤可能な近隣に大きな労働力を吸収できる産業を持っている地域があれば、地場産業がなくてもやっていける。ただ、この村の努力ではどうにもならないのが現状だ。

今後広域連合や広域合併をやる選択肢はあると思うし、例えば、市町村合併で市になれば、市全体の高齢化率は下がり、財政面で有利になる部分はあるかもしれない。とはいえ現実にこの地域だけ見れば、それで人口減を食い止めて、高齢化率が下がることは考えられない。

――人口減少が急速に進む村の課題をどのようにとらえていますか。

大きく挙げると、地域のコミュニティ崩壊、将来を担う子どもが非常に少ないことが一番の課題だ。

村の行政区は15あり、もう少し小さい単位の分区が55ある。分区は少し前まで60あったが、住民が亡くなったり、子どものところに移ったりして、誰もいなくなった区もある。行政の役割を担うなり手がいなくて、コミュニティ崩壊が始まっている。お祭り1つにしても、今までだったらできていたことができなくなった。

私の頃は小中学生が2000人以上いたが、(今春に小中学校が統合する形でオープンした)義務教育学校は9年生まで全部合わせて20人しかいない。

村に3つある介護施設も、労働力として外国人を入れることに真剣に取り組んでいかないといけなくなる。役場の採用に関しても、私が役場職員であるときからを含めて採用に関わったこの15年くらいで、正式な新卒採用はいまだにゼロだ。

15年後の“安定”を目指している

――そうした中で、人口減少を食い止めることは可能なのでしょうか。

急に増やすとか、V字回復とか、この現状をすぐに挽回する手はどう考えてもない。この村がいちばん栄えた頃の状態に戻すのは無理だが、15年後くらいに(人口が)安定していける計画を立てて努力している。

村としてやっていける人口は現在の半分程度の700~800人だ。これから年間だいたい60人くらいが亡くなり、人口ピラミッドの上部で1番ボリュームがある高齢者が間違いなくいなくなる。10年だと600人だ。

一方、年間の出生数はゼロだった時期もあったが、今は少し回復して2~3人が生まれる。2.5世帯が年間平均で入ってきたら、15年後の人口は700~800になる。そのための(移住定住促進)政策を今やっていて、現状では計画以上に達成しているが、これを絶対続けないといけない。

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