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「日本一老いる村」の村長が訴える地方創生の現実 群馬県南牧村「コミュニティ崩壊が始まっている」

東洋経済オンライン / 2024年10月19日 7時40分

(ソフトでいうと)この村は非常に観光が弱いが、これから立ち上げようにも、ノウハウがない。結局コンサルに頼まないと何もできないが、人頼みだとうまくいかないかもしれない。いきなりこの村を観光で生きる村に変えるわけにはいかないし、ソフトに金を使う意味があるのかと思う。

今まで箱物ばかり作るから箱物に頼らないように(ハードを作るな)と国が言うのはわかるが、ソフトで村は変えられない。交付金を倍増すると言われているが、もう少し手綱を緩めて、市町村に使い方を任せてもらいたい。最初から門前払いせず、こちらが提案すればメニューを作ってほしい。

――地方創生をコンサルに丸投げする自治体も多いという指摘が上がってきました。

ふざけていると思ったのは、いちばん最初に地方創生の将来計画を立てるわけだが、そのときに全国の多くの自治体がコンサルに頼んでいた。

うちもそうしないとやっていられないと言う職員がいたが、自分の自治体がこれからどう動くかを人任せにするのは許されるのかと思った。村を知らない東京のコンサルが出した計画でなく、ここに住む自分たちが将来のことを考えてやろうと言った。

画一的なメニューでは絶対失敗する

――前の岸田政権では「デジタル田園都市国家構想」がキーワードでした。情報通信技術を使って、都市と地方の格差をなくすという発想ですが、村のデジタル利活用はいかがですか。

まず引っかかるのは、「デジタル田園都市国家構想」という名前だ。南牧村は、田園でも都市でもないし、そんなもののメニューがこっちに合うわけがない。(群馬県の大都市である)前橋市や高崎市を目指しても意味がまったくないと思うが、みんな同じ所を目指せ、みたいなメニューが多すぎる。

ここは70%がお年寄りで、メールすら送れない人たちがいっぱいいる。例えば、過去にパソコン教室のようなものをやったときは、最初は100人も来たけど、1カ月経ったら2人しか残らなかった。

国も県もDXを進めているが、そもそも使おうとしない人が多い地域では、お金をかけてもたかだか1~2割程度しか使わない。その人たちにお金を使うくらいなら、他の8~9割の年寄りのためにシェアハウスでも建てることにお金を使いたいという話になる。

こういう町村でデジタル化を進めても難しいし、5年、10年先をみてデジタル化していくのは無理がある。そこを何としても目指せと言ったって、メニューが1個だったら絶対無理。「これじゃなきゃ認められない」という制約がもうマッチしていないし、絶対失敗する。

――これから他に、石破政権に期待したいことはありますか。

(役場の)職員は過去の半分になり、行政サービスが低下して、いざ災害が起きると困る。全国どこでも派遣するのは難しいとは思うが、自治体が要望したら国から職員を派遣してほしい。

市町村を信用できないなら、お金だけではなく、人を出してくれるシステムがほしい。直接頼もうとすると「すべて県を通してください」となるので、もう少し人的交流や話を気楽にできる体制がほしい。

茶山 瞭:東洋経済 記者

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