セブンの「上げ底弁当?」が今また"猛烈批判"の訳 値上げによる客離れを恐れ、ファン離れが発生か
東洋経済オンライン / 2024年10月20日 8時20分
実際、ネット上では「昔は『どうなの?』って思う商品もあったけど、今は改善されてるよ」的な声も見られる。
とは言え、このビリヤニに関して言えば、お腹いっぱい食べたいと思って購入した人なら、少し物足りなく感じるのも仕方がないとも感じた。それなら、800円程度にして、もう少し具を多くしたほうが、嬉しいと感じる人もいそうだ。
「ステルス値上げ」などは昔から指摘されていたが……
商品レビューがやや長くなってしまったが、今回の批判について、筆者は非常に興味深く感じた。なぜなら、こうしたステルス値上げや、ネット上で「パッケージ詐欺」などといわれる商品は、これまでも存在してきたからだ。
サンドイッチなどが典型だろう。正面からはぎっしり詰まっているように見えるが、中を開けると具材がなくスカスカ……なんてことが、真面目な法律系ニュースサイトで報じられたりもした(「セブンのサンドイッチ、『中身スカスカ』で騒動に…『上げ底惣菜』に法的問題は?」(弁護士ドットコムニュース/2020年10月24日)。
また、とある飲料商品で、パッケージが飲み物と同じ色をしていて量がわからない(意図的にそうしてる?)例もあり、「優良誤認表示では?」なんて意見もあった。
とはいえ、全体的な物価高や、他のコンビニやスーパーでも同様の事例はあり、これまではそれらの事例がネット上で激しく叩かれることはなかった印象だ。しかし、今回の減益報道をきっかけとして、たまりにたまった鬱憤が一気に噴出した感じがある。
こうした背景には、最近のセブン&アイHDを見ていて「大丈夫か?」と思うような事案が重なったこともあるだろう。カナダのコンビニ大手クシュタールから買収提案を受けたり、イトーヨーカドーの分離をめぐるゴタゴタがあったり、それに伴って社名の変更を発表したり……と、ニュースには事欠かないが、「叩きやすい」不安定な状態になってしまったことは間違いない。
値上げを恐れすぎた結果、ブランドの信頼も失ってしまった?
今回の事例から「ただ、一部の人がセブン減益の理由を誤解しているだけ」と思うことはたやすい。
しかし、筆者としては今回の騒動は、多くのビジネスパーソンにとって「教訓になる」事例だと考える。というのも、今回の袋叩き状態は「セブンが値上げを恐れすぎた結果、ブランドの信頼も失ってしまった結果ではないか?」と推測できるからだ。
ファンマーケティングの名著に『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』(日経BP/2011年)がある。アメリカの伝説的なバンド「グレイトフル・デッド」の活動の広げ方を、マーケティングの観点から説明したものだが、その中に「最前列の席はファンにあげよう」という章がある。そこにはこう書いてある。
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