わが子の「体験格差」に悩むシンママを救ったもの 習い事や旅行、アクティビティは贅沢なものか
東洋経済オンライン / 2024年10月22日 8時20分
子どもたちは、はやる気持ちを抑えられず、入館手続きと同時に館内に飛び込んでいく。夢中になってかけ回る姿は子どもらしい。
1階から2階にかけて、期間限定の鉄道模型コーナーやロマンスカーの旧車両展示&体験乗車コーナー、ジオラマパーク、ロマンスカーの車両をかたどったスペースのあるアスレチックコーナーを縦横無尽に行き来する。
ときには兄弟同士で、あるときは1人ひとりが自分が好む遊びを熱心に繰り返す。子どもが3人もいると、やりたいことも行きたいところもばらばらだ。ちょっと目を離すとどこかへ行ってしまう。「その様子を追いかけ切れない」と三平さんはいう。
それでも、のびのびと好きに自由にさせてあげられる時間と空間、そしてお母さんのちょっとした余白が、ここにはある。これがこの体験プログラムの魅力の1つなのかもしれない。
一家は筆者と別れたあとも何度も各所を繰り返し歩いて満喫し、帰路についたようだ。
別れ際、「夏休みの最終日に家族全員で一緒に遊べたことが何よりもうれしかった」という声を寄せてくれたのが、なんとも印象的だった。
その言葉からは、全員が平等に遊びたくても遊べないというもどかしさと、やっぱりみんなで一緒に楽しみを共有できるうれしさが、そこはかとなくにじみでていたからだ。
切実に困っている「体験欠如」
体験格差を解消しようと、すでに複数の団体で取り組みをし始めている。
子どもの教育格差解消を目的に活動を行う公益社団法人「チャンス・フォー・チルドレン」(CFC)が取り組む「子どもの体験奨学金(電子クーポン)事業『ハロカル』」、アソビュー、花まる学習会、慶応義塾大学、リディラバの4者が連携する「子どもの体験格差解消プロジェクト」などだ。
フローレンスも同様に従前より検討を進めていた。本格的に考え始めたのは、2017年から開始していた基幹事業の1つ「こども宅食事業」がきっかけだったという。
事業を実施するなかで、利用家庭と関わる際に、切実に困っていることとして「体験の欠如」という言葉を何度も耳にしていたのだ。
どうしても生きることを優先するあまり、衣食住は確保を努めるけれど、体験活動にまで手が回らないという困りごとの声が、日に日に増していったことを実感した。
そこで、2023年にまずは単発のキャンペーンとして、子どもの格差が浮き彫りとなる夏休み期間に「#夏休み格差をなくそう プロジェクト」を実施。複数の企業からレジャー施設や外食、プログラミング教室などの体験機会を提供してもらい、2カ月半の期間中に経済的な困難を抱える家庭など2885世帯に体験を届けた。
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