わが子の「体験格差」に悩むシンママを救ったもの 習い事や旅行、アクティビティは贅沢なものか
東洋経済オンライン / 2024年10月22日 8時20分
本プロジェクトには想定を超える応募が集まり、利用した家庭からは多くの喜びの声が寄せられたという。とはいえ、一過性のキャンペーンでは解決されない。
厚生労働省の「2021年 国民生活基礎調査」による相対的貧困の基準は、世帯年収127万円とされ、相対的貧困率は15.4%に達している。つまり、日本人口の6人に1人、約2000万人が貧困ライン以下で生活しているのだ。
こうした潜在的貧困層の課題を解決するためには、単発のキャンペーンではつながりにくい。そこで継続的に提供できるよう、2024年に「こども冒険バンク」を立ち上げた。
体験格差は金銭的な問題だけではない
今回のプロジェクトマネージャーを務める、フローレンスの皆川春菜さんは、「体験格差の原因は複数あり、金銭的な面だけではない」と話す。
もちろん第一の問題として挙げられるのは、低収入が理由で体験に投資ができないということだが、次いで挙がるのは、ひとり親や共働きなど大人が時間や手を空けられないといった理由で、体験をさせてあげられないことだという。
「こうしたさまざまな理由で体験を諦めている人に、少しでもサポートの仕組みを知ってもらい、楽しんでほしいなと思っています」
このサポートは企業の支えなくしては成り立たない。支える企業も、プラットフォームができたことで、”私たちも何か取り組みたい”と、立ち上がることができたようだ。
取材をした日のプログラム提供をした小田急電鉄は、日頃よりCSR活動に力を入れてきていた。
広報部の荻本さんは、「これまで当社は子どもの笑顔や成長、子育てされる親御さまへ寄り添う気持ちを“子育て応援ポリシー”と掲げて、小児IC運賃50円化や、グループ会社をあげての各種体験イベントなどを実施してきた。
そのなかで、経済的に切実に困っている人たちの声を結構いただいていた。とはいえ、”誰でもいつでも無料に”とキャンペーンを拡大して実施しても、本当に必要な人に届くのか?という課題もあった。
本質的なことが解決されるためにはどうしたらいいのかと模索をしていたときに、他社を通じてフローレンスさんと出会った」と話す。
そのうえで「企業はもっと困っている人のために貢献したいと願っているはずだ。今回のような活動がもっと認知されて、参加する企業が増えれば」と、希望を込めて話してくれた。それまではフローレンスのことを知らなかったそうだが、こうして企業とNPOがつながることで届けたい層とのマッチングハブとして機能している。
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