介護保険を「撤退戦」から守るたった1つの方法 一段と強まる給付削減と介護報酬の伸び抑制
東洋経済オンライン / 2024年10月23日 8時0分
敬老の日の2024年9月16日に『こんなはずじゃなかった、介護保険』というYouTube上で8時間に及ぶマラソンシンポジウムを上野千鶴子先生(東京大学名誉教授、社会学者)が企画していました。
私がいただいたテーマは「究極の財源問題/税・保険折衷方式は正しかったのか?」でした。正しい、間違いの話は抜きにして、この方法だから介護の社会化ができたのだろうというのはあります。このシンポジウムで話したことや準備していたけど読み飛ばしていたことを記しておきたいと思います。
まず、介護の世界で著名な池田省三先生(龍谷大学名誉教授、故人)は、私が2011年に書いた「空想的社会保障論」に共感してくれていた話を紹介します。
それまで、池田先生に会ったことがなかったのですが、突然、池田先生の「空想的介護保険論からは何も生まれない」(『介護保険情報』2011年10月号)の抜き刷りが送られてきました。
読むと、確かに私が言いたいことを理解してくれている。つまり、私の文章「方向性・理念を語ることが社会保障論だと信じていた、空想的社会保障論者がこれまで等閑視していたこと、それは社会保障問題は財源調達問題であるという側面だ」が引用されていました。
そして池田先生の論考にある、「保険料と公費による新たなファイナンスシステムを構築したからこそ、介護サービスは生き残れたのである」という理解に、私のほうからも共感しています。
所得再分配国家は五公五民国家にあらず
以下は『経営協』2023年12月号の「連帯してみんなで助ける仕組みをもっておく、ただそれだけのこと」に書いたことです。
そこでは、「『労働力希少社会』を迎えて、・・・そのときに需要される医療・介護従事者を確保するためには、賃金は一層高くならざるを得ません。これを実現するためには、どうすればいいのでしょうか? この問いに対して、すぐに『税、社会保険料を増やす』と答えることができる人が増えること、それが、特集のタイトル『いまあるフクシを超えていく』ためには必要なこととなります」と書いています。
そして、「社会保障を中心とした再分配国家を五公五民の政府に例えるおかしさに気づく人がどれほど多くなるのかどうか。そうしたことに、いまあるフクシを超えて、新しい世界を切り拓くことができるかがかかっている」とも書いています。
昨年の統一地方選挙の時に、ある政党は、日本の今の政府を、江戸時代の五公五民に例えて批判していて、そうだそうだという人がメディアやネット界隈には大勢いて、その政党は勢いを強めていました。これは、そうした空気を意識しての文章です。
この記事に関連するニュース
-
日本の解き方 基礎年金の財源に厚生年金案、弱体石破政権で官僚が悪巧み 税と社会保険料の徴収を一元化する「歳入庁」設置が世界の常識だ
zakzak by夕刊フジ / 2024年11月21日 11時0分
-
経済学の権威が断言「国民民主党の目先の手取りアップ策では、国民の暮らしは一向に上向かない」
プレジデントオンライン / 2024年11月2日 8時15分
-
「さらばモデル年金」誰も知らない財政検証の進化 女性活躍推進、子育て支援は重要な年金政策だ
東洋経済オンライン / 2024年11月1日 19時30分
-
75歳の医療費負担が3割になる!? 高齢社会対策大綱から見る家計運営の考え方。
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月31日 22時20分
-
年金211万円を超えると注意!後期高齢者が負担する保険料はいくら?
オールアバウト / 2024年10月28日 20時30分
ランキング
-
1形を変えた政活費に? 自民改革本部案の「外交支出」、与野党協議の焦点に
カナロコ by 神奈川新聞 / 2024年11月21日 21時44分
-
2暗躍する悪質ホストの歌舞伎町スカウト「さらすぞ」 闇バイト募集と同じ手口 深層 歌舞伎町
産経ニュース / 2024年11月21日 21時6分
-
3生後2カ月の次男が意識不明 傷害容疑で巡査長を書類送検 福岡県警
毎日新聞 / 2024年11月21日 19時37分
-
4稲村陣営がSNSが選挙期間中に凍結 刑事告訴の方針「選挙戦で自由な発信ができなくなった」 兵庫県知事選
MBSニュース / 2024年11月21日 19時25分
-
5《県職員は冷ややかにお出迎え》SNS効果で斎藤元彦兵庫県知事が再選 流布された「真実」は「事実」だったのか、求められる検証
NEWSポストセブン / 2024年11月22日 7時15分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください