和田秀樹が解説「脳が衰える習慣・活性化する習慣」 試練が訪れやすい高齢者こそ楽天主義を徹底
東洋経済オンライン / 2024年10月26日 10時0分
高齢者専門の精神科医である和田秀樹さんは著書『脳と心が一瞬で整うシンプル習慣 60歳から頭はどんどんよくなる!』で、いくつになっても脳の働きを活性化させ、賢くなり続けられるのだと語っています。一生、最高の自分を更新し続けたい人に役立つ同書から一部抜粋・再構成してお届けします。
前頭葉は「新しい経験」が大好き
なじみの店、なじみの道、なじみの商品……そんな存在は心強く、また、気持ちも安定させてくれるものです。
ただ、頭をよくしたいと思ったなら、ぜひ、慣れ親しんだ世界を飛び出して、新しい経験を日々に取り入れるという姿勢を大事にしてください。親しみを感じる環境はほっとできるものですし、それはそれで大事にしていただければと思いますが、前頭葉に楽をさせることで、それが衰えてしまいます。
私たち人間は、意識しようとしていまいと、楽なほうに流されてしまうもの。けれど、だからといって気心知れた人とばかり接したり、安心できる環境にばかり身を置いたりしていると、柔軟性や応用力は磨かれず、クリエイティブな力も伸びていきません。
自分が想定できる範囲でしか生きていなければ、新たな刺激を受けられなくなった脳は、どんどん衰えていってしまうのです。
たとえば、いつもと違う道を通ってみる、これまでとは違う音楽や本のジャンルに触れてみる、毛嫌いしていないで、若者が親しんでいる文化にも触れてみる。そういったことでも十分です。
前頭葉は新しいものに反応しますから、未知の何かに触れるたびに、どんどん脳にエネルギーをチャージすることができるでしょう。
新しいことへの挑戦は、時に不安も伴うと思います。でも、ちょっと勇気を出してその一歩を踏み出してみることで、脳の若返りのチャンスを得るとともに、今まで知らなかった自分にも出会うことができるのです。
脳を若返らせたいなら、日常に「想定外」のことを増やそう
人間は長い進化の過程において、「なかったことをやろうとすること」によって前頭葉を発達させてきました。
体の大きさや頑丈さといったものに関しては他の生物に劣っている人間が、自然界で生き延びるためには、知恵を働かせ、どんどんやり方を変えていく必要があったのでしょう。
そういった性質を持つ前頭葉は、「想定外のこと」「予測不可能なこと」が起きたときに、その真価を発揮します。つまり、予期していなかったハプニングなどに対応するとき、人の前頭葉は刺激され、鍛えられるということです。
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