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「北朝鮮がロシア派兵」その情報に現実味はあるか 兵士1万2000人、砲弾800万発…北朝鮮はできるのか

東洋経済オンライン / 2024年10月26日 8時20分

110万のうちの1万人なら、ロシアに派遣できる十分な数にみえるかもしれない。2024年6月にプーチン大統領が訪朝して「包括的戦略パートナーシップ」を締結した。この中に、軍事分野での協力が盛り込まれているのは事実であり、派遣するという約束が盛り込まれた可能性はある。

一方で、北朝鮮は陸地で韓国軍と在韓米軍と対峙しているため、そうそう簡単に兵士たちをその場から引き離し、外国に派遣するとなれば相当な混乱が生じるのは間違いない。

2013年に北朝鮮は「経済建設と核武力建設の並進路線」を掲げた。これには、最大の抑止力にある核武力を確立することで通常戦力など軍事分野への投資を減らし、その分を経済建設に回せるという政策だった。これは現在も継続されている。

とはいえ、それでも国内での兵力と通常戦力を維持するための兵器は必要で、それらをやすやすと外国に輸出できるほどの経済力はない。これに加え、北朝鮮特有の事情も重なる。兵士という存在は軍事分野以上に貴重な人材だ。それは、兵士たちは国内の経済活動にも従事させられるためだ。

とくに2024年に入り北朝鮮の金正恩総書記は、地方経済の成長推進を重要政策に掲げた。その核となるものが「地方発展20×10」政策だ。これは「毎年20の郡で近代的な地方産業工場を建設し、10年以内に全国すべての市・郡で完工させていく」ことを表したものだ。

地方に限らず、2012年に金総書記が政権を握って以降、平壌市内の再開発や住宅建設などには必ず兵士たちが大量動員されてきた。これは経済の緩やかな回復を背景に、住宅供給など住民の日常生活の向上・福祉の充実を掲げてきたため、それを効率的に実現する手段として兵士たちを労働力として経済建設に回しているためだ。

さらに9~10月という季節は、北朝鮮農業では収穫時期を迎える。米や小麦、トウモロコシなど穀物生産量を増やすことは、今でも北朝鮮にとって最重要課題だ。農場では少しでも生産量を上げるため、農場員以外にも都市住民、さらには兵士を動員して収穫に集中させるのがつねだ。

こういう状況の中、1万人を超える兵士を選抜して外国へどのように送るのか。その具体策は、ウクライナ、韓国双方が明らかにした情報ではよくわからない。

兵器・装備ではどうか。

北朝鮮が平時に、軍需工場をフル活動して生産できる砲弾量は年間200万発だと、韓国の国家情報院が明らかにしたことがある。最近では、北朝鮮の兵器工場では生産ラインの自動化などが進められ、生産能力はさらに向上していると考えられている。

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