ワタミの日本サブウェイ買収で克服できる「弱点」 日本で3000店舗の展開に役立つワタミの強み
東洋経済オンライン / 2024年10月27日 8時20分
その後、2023年に創業者のフレッド・デルーカが死去したことにより、グローバルなサブウェイの経営権は創業家から投資ファンドへと移ります。そしてファンドが新たな戦略を考えた結果、やはり世界各国の市場はそれぞれの事情で経営したほうがいいと判断したのでしょう。
それで今回、新たに日本での戦略パートナーにワタミが選ばれたのですが、これは日本サブウェイにとっても業績を拡大するチャンスです。ふたたび日本市場を理解している企業が日本での展開を推し進める体制ができたのですから。
理由3:ワタミの3つの強み
さて、ここが一番重要な点ですが、ワタミはサブウェイの運営に関してどのような貢献ができるのでしょうか。大きな部分だけで3つの強みが考えられます。
まずシンプルにワタミの持つサプライチェーンによって食材に新たな価値を加えることができます。ワタミはワタミファームという直営農場を経営しているので、新鮮な有機野菜をメニューに加えることができるようになります。
もうひとつ即戦力的に期待ができるのが出店戦略です。アメリカのサブウェイ本社には実はもうひとつ別の弱点があると言われています。
サブウェイはメニューやブランド、オペレーションに自信があることからフランチャイズを比較的優位に獲得でき、勢力を拡大してきた歴史があります。これが過去に、日本のフランチャイズ拡大の失敗事例として知られる「いきなり!ステーキ」とよく似た現象を引き起こしたのです。
つまり比較的少ない投資予算で店舗開業ができ、かつ商品力があるブランドであることから、フランチャイジー獲得に関して売り手市場の立場になってしまい、結果として同じサブウェイの店舗同士が競合になってしまったのです。
日本でこれから成長するためにはサブウェイのサンドイッチを求めるファン層が多い場所を開拓していかなければなりません。その知識は当然、本国よりも日本市場に精通したローカルパートナーに頼る必要があります。その点で出店戦略というのはワタミが非常に強い分野です。
そして3番目の強みとして日本の飲食市場の需要に対する理解力があります。
先述したようにサブウェイには需要のピークが昼に集中するという弱点があります。これは日本とアメリカの文化の違いが根底にあります。アメリカではディナーでサンドイッチを食べるのは普通なことであり、かつサイズも大きくて大丈夫です。
しかし日本人はサンドイッチは昼食メニューだという文化的な思い込みがあります。それも女性が主要な顧客ということでサイズはいわゆるハーフサイズを注文すればおなかいっぱいになる人が少なくありません。
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