江戸時代の武士が利用した「介護休暇」の驚く中身 老親介護をバックアップした江戸時代の「休暇制度」
東洋経済オンライン / 2024年10月29日 17時0分
この「息子が率先して父の介護に取り組む」「女性ではなく男性が介護の中心役になる」などの特徴は、水野重教、渋江和光に共通している事象といえるでしょう。なお、和光の実父・光成の介護には、妹の婿養子である左膳もまた、「看病御暇」を取得してケアに当たっています(和光が「看病御暇」を返上してから2日後である11月29日の記録に、「左膳」も同様に返上して出勤したとの記載があります)。
父が倒れた翌々日に介護休暇を取得
もちろん介護には光成の妻や娘も協力していたとは思いますし、介護現場で使用人があれこれ指示される状況もあったとは思います。しかし和光と左膳は、父(和光にとっては実父、左膳にとっては義父)のケアを最優先事項として位置づけ、父が倒れた翌々日に藩から介護休暇をとって、体調が安定するまでしっかりと介護に向き合っていたわけです。
なお快方に向かった父・光成は、年が明けた1815年(文化12年)1月に剃髪(ていはつ)して名前を「逸斎(いっさい)」と改め、隠居生活を送りました。外に出歩いたりしているので、病後も元気だったようです。それから約3年後の1818年(文政元年)8月12日に脳卒中の再発により倒れ、翌13日に亡くなっています。
倒れたときはすでに重体で、和光は12日に看病御暇を藩に申し出ました。しかし介護する必要はなかったわけです。光成の最期は苦しむこともなかったようで、ピンピンコロリの大往生を迎えたといえます。亡くなる直前の3年の間に、和光は結婚して子供も生まれていました。和光の子、つまり光成にとっては孫の顔を見られたので、幸せを感じられたのではないでしょうか。
﨑井 将之
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
県庁所在地と名前が違う県は「"賊軍"の藩が多い」説は本当か?
RKB毎日放送 / 2024年11月20日 15時45分
-
54歳契約社員。末期がんの父と認知症の母の介護にお金がかかり、自分の貯金がなくなりそうです
オールアバウト / 2024年11月12日 22時20分
-
100歳を超えても健康でい続ける秘訣は? 98歳で筋トレを始めた父が頑なに守る一つの“習慣”
CREA WEB / 2024年11月10日 11時0分
-
【もりおか歴史文化館】テーマ展「藩校助教藤井又蔵の足跡」
PR TIMES / 2024年11月9日 11時45分
-
日本人が知らない「武士の介護休暇」意外な手厚さ 江戸時代にも90歳を超える高齢者が一定数いた
東洋経済オンライン / 2024年10月28日 18時0分
ランキング
-
1「築浅のマイホームの床が突然抜け落ちた」間違った断熱で壁内と床下をボロボロに腐らせた驚きの正体
プレジデントオンライン / 2024年11月22日 17時15分
-
2三菱UFJ銀行の貸金庫から十数億円抜き取り、管理職だった行員を懲戒解雇…60人分の資産から
読売新聞 / 2024年11月22日 21時35分
-
3物価高に対応、能登復興支援=39兆円規模、「103万円」見直しも―石破首相「高付加価値を創出」・経済対策決定
時事通信 / 2024年11月22日 19時47分
-
4相鉄かしわ台駅、地元民は知っている「2つの顔」 東口はホームから300m以上ある通路の先に駅舎
東洋経済オンライン / 2024年11月22日 6時30分
-
5スシロー「パペットスンスン」コラボに言及「追加販売を検討」 発売当日に一部完売したグッズも
ORICON NEWS / 2024年11月22日 17時45分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください