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「当たり前に暮らせる」児童養護施設が目指すこと 地域に開いた実籾パークサイドハウスの挑戦

東洋経済オンライン / 2024年11月1日 9時40分

千葉県習志野市に建設中の「実籾パークサイドハウス」(写真:福祉楽団提供)

子どもの虐待は、この20年で通報件数が約9倍に増えている。全国の児童相談所が対応した子どもの虐待件数は、2002年には2万3738件だったものが、2022年には21万9170件に上っており、これは、およそ2分間に1件の割合で虐待が起きていることを意味している。特に首都圏において、その傾向は顕著であり、対応が追いつかない状況が続いている。

【写真で見る】子どもたちが”普通の暮らし”をできる児童養護施設は着々と工事が進んでいる

圧倒的に不足する一時保護施設

そんな中にあって、千葉県習志野市に来年3月、「実籾(みもみ)パークサイドハウス」と名づけられた施設が開設される。児童養護施設や一時保護所などを備え、地域や幅広い年齢層の人たちと交流しながら、子どもが成長することを目指した施設だ。

立ち上げたのは、千葉に拠点を置く社会福祉法人「福祉楽団」。介護施設や保育所などケアビジネスを展開する同法人が実籾パークサイドハウスの設立に乗り出したきっかけは、千葉県の職員だった藤堂智典さんが福祉楽団理事長の飯田大輔さんを訪ねたことだった。藤堂さんは20年以上にわたり、子どもの福祉分野の仕事に携わってきた。

児童虐待などによって家族と暮らすことが難しい場合、子どもは一時保護所に入る。その後、ソーシャルワーカーの働きかけによって保護者のもとに帰るケースもあるが、戻すのが難しい場合は、児童養護施設で過ごす、あるいは里親のもとで暮らすことになる。

だが、里親を見つけるのは容易でないほか、児童養護施設も圧倒的に不足。こうした中で、首都圏の一時保護所は、東京都で122.5%、千葉県で125.0%と定員オーバーの状況が続いている(「令和5年度全国児童福祉主管課長・児童相談所長会議資料」こども家庭庁)。

一部屋に定員以上の人数で、場合によっては倍ほどの人数で寝泊まりしていたり、支給される下着や肌着が新品ではなく使い回されたものだったりしているという。「支給される下着の30〜35%が中古の下着。中高生でスマホが持てない子どもは大体3割強いる(飯田さん)」。

そうした状況を目の当たりにしてきた藤堂さんは、飯田さんに「子どもの当たり前の暮らしを実現するために力を貸してほしい」と相談。飯田さんも、以前から子どもの福祉について問題意識を抱いていて、藤堂さんの話を聞き、「普通の暮らしとほど遠い環境を何とかしなければいけない」と強く感じたという。

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