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「当たり前に暮らせる」児童養護施設が目指すこと 地域に開いた実籾パークサイドハウスの挑戦

東洋経済オンライン / 2024年11月1日 9時40分

4カ月の間に300件を超える物件を見て歩いたという。地域に対しても説明会を開催したり、工事を行うにも地元の業者に発注したりと、地元の理解を得る時間や労力を惜しまなかった。

出会ったのは習志野市の実籾の1850坪ほどの土地。周囲は住宅地で、公園や高校に隣接している。それと並行して、全国にある他施設の見学とヒアリングも重ね、これから作る施設にどんな要素を盛り込んでいくかの検討を重ねた。

「近隣の人たちがこの活動に理解を示し、応援してくれています。子どもたちをはじめとする、そういう期待に応えるべく、やれることはすべてやろうと考えています」と飯田さんは語る。上棟式でもち投げをやった際にも多くの近所の人が集まったという。

施設の建設にあたり、15億4000万円ほどの費用がかかる。そのうち2億8000万円は国庫補助金がおりたが、残りは借り入れと寄付によって工面することにした。

そして、2023年10月には「OUR KIDS基金」を設立し、個人や団体から寄付を募っている。これには、建設費用を賄う「建設サポート寄付」に加え、子どもたちの暮らしを支える「ライフサポート寄付」というものを設けてあり、個人でも法人でも参加することができる。

企業からも予想以上の反応

動き出したところ、まず個人による寄付が予想以上の手応えがあり、総額で1億円を超えるところまで来ているという。また法人についても、SOMPOグループやサイボウズ、ZOZOなど、このプロジェクトの主旨に賛同し、参画する企業が出てきている。

例えば、サイボウズは実籾パークサイドハウスに設けられるバスケットボールコートのネーミングライツを3300万円で獲得。同社では青野慶久社長が個人的に寄付をしていたが、活動に共感したこともあって「企業としてより大きな形で関わりたい」と、名乗りをあげた。

福祉楽団がもともとサイボウズの製品を使っていることから付き合いがあるほか、サイボウズ自体も福岡県北九州市で行われている複合型社会福祉施設建設に寄付するなど、福祉の分野に力を入れているという素地もあったという。

ライフサポート寄付は、実籾パークサイドハウスがオープンしてから、当たり前の暮らしを実現・継続していくために使われる。例えば、前述した新品の下着・肌着の提供や、部活動や学習塾に参加できる環境、中高生のスマホの所持、大学への進学や海外留学など――現行の環境では充実が難しいことを、この資金を利用して実現しようとしている。

未来に向けた「実験的な試み」

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