「さらばモデル年金」誰も知らない財政検証の進化 女性活躍推進、子育て支援は重要な年金政策だ
東洋経済オンライン / 2024年11月1日 19時30分
知事、ありがとうございました。今日は、最賃の引上げ、被用者保険の適用拡大の日です。
直近では2回適用拡大がなされていて、2016年の時は年金局の見込み以上に適用が進みました。あの頃は、「働き損」などというウソの話が出回ってなかったのも大きかったと思います。
3号制度に関しては、昭和の日本は、女性は働く場が制限され、育児、介護の家庭内での必要もあり、男性の働き方もむちゃくちゃだったので、女性が家にいることはある意味合理性を持っていたとも言えます。そして当時の専業主婦へのセーフティネットとして、第3号被保険者制度が作られました。
セーフティネットだから、使わない方が得になるように設計されています。
昭和の時代よりも、今はみなさん女性活躍応援団の努力のおかげもあって、女性の働き場も整備され、介護保険や子育て支援も整備され、男性の働き方も少しは改善されてきたので、家庭の特別な事情がない限り、セーフティネットは使わない方がよいのですが、制度を知らないままにこの世界に参入してきた人たちは、「働き損だ」「3号は不公平だ」と言い続けました。
働き損だとかいうおかしなことを言っていた彼らは、セーフティネットである生活保護は保険料を払うことなくもらえるから、働かない方が得だと言っているようなものです。
ネガティブな情報はポジティブな情報よりも7倍の影響力を持つとも言われていますが、年金制度に関するデマをいかに正すか。年金周りではそうした話が多すぎてですね。
東京都は、国よりも率先して、日本で一番、正確な理解を促進する活動をしてくれています。そうしたことが、女性のキャリアアップ、自己実現を追求できる社会に向けてとても重要かと思います。今日のこのくらし方会議も、夢と希望のある未来に向けてみんなで闊達に議論をしてらいたいと思います。
日本の年金制度に関しては、昭和的利用と令和的利用があると考えればいいと思います。片働き世帯における扶養家族へのセーフティネットを備えた日本の年金制度は、生きている人々を取り巻く環境が大きく変わっても、その利用の仕方は昭和的利用から令和的利用に変わるとしても時代の変化に適応できるように設計されています。
こう考えていくと、目下、最優先の年金政策は、より多くの人が厚生年金という所得の分配装置を利用できるようにすることになります。これは、厚生年金の適用拡大、今は勤労者には勤労者にふさわしい保障をということで勤労者皆保険の実現とも呼ばれています(「第3号被保険者、就業調整は賃金も年金も損」)。
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