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「さらばモデル年金」誰も知らない財政検証の進化 女性活躍推進、子育て支援は重要な年金政策だ

東洋経済オンライン / 2024年11月1日 19時30分

その動きを公的年金サイドから見れば、それは、年金の給付の十分性の高まりというように見えることになるわけです。

次の図は、2004年の公的年金の財政再計算時に想定されていた、被用者保険被保険者数と第3号被保険者数の見通しとその実績です。2004年時には、将来の被用者保険被保険者数は過少に、第3号被保険者数は過大に見込まれていました。

そうした2004年時の見込みの間違いはよいことなのか、それとも悪いことなのか——見込み違いのおかげで、2004年時の試算よりも、今は、幸いにも給付の十分性は高まっています。

次の図は、第3号被保険者数のこれからの見通しです。今後とも、大幅に第3号被保険者が減少していくことが見通されています。このことは、給付の十分性がどんどん高まっていくことを意味しています。

ここで、共働きの世帯をイメージしてください。

ともに、厚生年金があるのならば、モデル年金で示される片働きのときよりは、その家計は給付の十分性が高まり老後の生活にはかなり余裕がでてきます。世間で言われている、「年収の壁」「働き損」「3号はお得」という噂が、いかにミスリーディングな話であるかわかると思います(「怖い"集団催眠"専業主婦年金3号はお得でズルイ」)。

こうした3号理解に関する集団催眠状態にあるとも言える誤解を解くために、東京都のくらし方会議は、女性がほぼ平均寿命まで生きた場合、継続就労型のライフコースを選択すれば出産退職型ライフコースに比べ、退職金を除いても生涯の世帯収入で約2億円、うち年金で約3000万円多くなることを試算していました。

終身給付が保障される公的年金は長生きリスクへの保険なので、長生きすれば年金での差はさらに広がります。この会議では、妻が継続就労しない場合の配偶者手当と配偶者控除による夫の収入のメリットは、33年間利用で670万円程度との試算も示しています(「東京でのくらし方、働き方について〜わたしたちの思い〜<東京くらし方会議>」)

また東京都は、くらし方会議の生涯収入の試算結果に関する動画を作って、今年10月1日の適用拡大の前後で山手線をはじめとした都内の電車内や各駅、スーパーなどでどんどん流し、今もYouTubeやTVerで配信してもいます(「東京ライフ×キャリア」)。

次は、10月1日、被用者保険の適用が101人以上の企業から51人以上への拡大がなされた日に開催された東京くらし方会議での、発言です。

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