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「さらばモデル年金」誰も知らない財政検証の進化 女性活躍推進、子育て支援は重要な年金政策だ

東洋経済オンライン / 2024年11月1日 19時30分

と同時に、女性がより長く厚生年金に加入できるように、育児・介護と仕事の両立支援を一層充実させていくことも、年金政策として極めて重要です。

公的年金の給付3原則とは何か

今後、適用拡大や女性の社会進出がこれまでのトレンドで進む中、女性が厚生年金により多く加入していくことになるでしょう。

そうした側面を、支え手が増えるから年金の財政が改善されると説明する人は多いと思います。しかし、その実態は、女性の厚生年金の加入期間が長くなり、彼女たちの給付額が増えるということにほかなりません。

ここに私が公的年金の給付原則と呼んでいる3原則を示していますが、年金は、保険料を多く払えば、自分の年金も多くなる仕組みになっており、保険料を払うのは、誰か他の人のためではなく、自分の将来のためになるように設計されています。

要するにこの国では、年金は自分で作るものであり、公的年金の世界では、支え手という言葉は使うべきではありません。支え手を増やすためにパートタイマーにまで適用拡大が進められているという、よく見る話はまったく根拠のない話です。

次の図は、女性の老齢年金の年金月額分布の変化(生年度別)のグラフです。

1959年度生まれの2024年度に65歳の女性では、年金月額7万〜10万円が最も多く、10万円未満の低い年金額の人の割合は67.3%を占めています。しかし、2004年度に生まれた今20歳の女性は、労働参加が漸進の場合には15万〜20万円がピークの分布になり、10万円未満は13.0%に減少します。そして労働参加が進展の場合には20万〜25万円がピークとなる分布となって、10万円未満は2.8%へと激減していきます。

女性活躍、子育て支援、そして年金

今回の財政検証は、女性活躍を推進することと、子ども子育て支援を充実させること、加えて、65歳以上の就労の機会を準備していくこと、そして安定した年金制度を構築していくことは、実は同じ方向を向いていることを明らかにしてくれました。

それもそのはず、公的年金は、制度を作る段階ではいつも、国民の自助・自立の精神を損なうことがないように細心の注意が払われ、むしろ促すように設計されていたからです。みんなが前向きによい社会を作ろうとし、1人ひとりが自立して生きていこうとすれば、1人ひとりの年金も充実する。制度設計をした先人たちが公的年金保険に埋め込んだ理念はそういうものでした。

次の図は、2024年度末の年齢ごとに、それぞれが65歳を迎えたときの厚生年金被保険者期間です。2024年財政検証で見通されている女性の厚生年金被保険者期間は、現在65歳の人たちの平均17.2年よりも今20歳の人たちは31.6年となり大幅に伸びます。しかし現在20歳の人たちが65歳を迎えたとき、40年以上の厚生年金被保険者期間は男性60.2%であるのに、女性は36.0%に過ぎません。

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