米大統領選で注目「ふたつのジェンダーギャップ」 ハリスとトランプのどちらに有利に働くのか
東洋経済オンライン / 2024年11月2日 17時0分
また、男女の平等を憲法修正条項に加えるERA(男女平等憲法修正条項:Equal Rights Amendment)議会承認(1972年)から80年代までの各州による批准運動は女性が政治に積極的に参加せざるを得ない、大きな要因となりました。
1980年の大統領選挙で男女の投票率は逆転。1990年代では2ポイント台、2000年以降では3ポイント台、近年では4ポイント近く女性の投票率の方が高くなっています。男女ですので、母体の人口も大きいので数パーセント違うだけでも差が出ます。白人女性に限れば、共和党が高い場合もありますが、トータルとしては女性の投票率の高さが民主党の支持率の高さにつながっています。
また女性とともに、黒人、ヒスパニック、アジア系の人種マイノリティの支持も2020年のバイデンの数字に近くなってきました。今年の選挙での人種マイノリティからのバイデンの支持がだいぶ落ちていて、大きく懸念されていました。
しかし、バイデンであっても、最終的には現在のハリスと同じような数字になっていたかもしれません。というのも、選挙戦が本格化したら、やはりトランプ嫌いの女性や人種マイノリティは目立ってきたと想像されるためです。ただ、ちょうど、大統領選が盛り上がってきたときにハリスが大統領候補になったので、人種マイノリティや若者や女性がハリスの支持に回っているように見えているのは間違いないと思います。
「トランプは嫌」という共和党支持者も、いるにはいる
――共和党の中からもハリス支持の声が上がっていますが、それは、共和党の分裂を意味するのでしょうか、それとも、もともと民主党候補に投票する可能性がある人たちが声を上げただけなのでしょうか?
前嶋氏 後者です。共和党の中にもトランプが嫌だと思っている人はいます。アメリカ国民の3割弱が共和党支持です。民主党は国民の3割強が支持しています。
無党派層は全体の3割か4割程度ですが、「中間層」では全くなく、無党派層の中は、3分の1ずつ、共和党寄りの層(lean Republican)、民主党寄りの層(lean Democrat)、全くの無党派と分かれています。だからアメリカ国民の4割ぐらいが「共和党支持+共和党寄り」です。そのなかにはトランプが嫌だという人はいます。
アメリカの場合、党派性が強くなればなるほど選挙に行きます。無党派層の中の無党派は全く選挙に行きません。かつては「レーガンデモクラット」のような民主党支持者が共和党候補に入れたり、その逆もありましたが、現在はその可能性は極めて少ないです。
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