ウクライナ戦禍逃れた20歳が未来を模索する拠点 来日して「ひとり暮らし」、立ち止まらず前へ
東洋経済オンライン / 2024年11月4日 7時45分
「ウクライナでは、誰もが戦争の話をしている。それに対して日本では『昨日髪を切ったけれど、どうかな?』とか、そういう話をしているんです。話していることの深刻さが、違いますよね。
僕はそのことで苛立ったわけではないんです。でも当時は自分の心の中心がウクライナにあって、なかなか日本の友人の会話に共感できなかったことも事実です。
そういったギャップがあるのは、ロジカルに考えれば当然だと思います。毎日世界のどこかでむごいことが起こっている。今だってウクライナだけでなく、イスラエルとパレスチナの問題もあります。でも人間が関心を向けられることには限りがあって、世界中で起こる大変なことすべてに気を配っていたら、頭がおかしくなってしまう。
僕も、2年半日本に住んでいて、日常感じている物事の範囲は、ウクライナ人よりも日本人に近くなってきているかもしれません」
マックスさんは、眉を寄せて複雑な表情を浮かべた。
戦禍にいなくても、我々は同じ世界を生きている
「では、平和な環境にいる私たちが、戦争などの非常事態の影響下で苦しむ人々のために、何ができると思いますか?」と問いかけると、マックスさんは、日々考え続けている事柄を心から取り出すように、一語一語明確に答えた。
「大事だけど見逃されがちなこととして『当事者の置かれた状況を知る』ということがあります。例えば、なぜロシアが侵攻したのか? その背景には歴史があり、ソ連の時代に遡る話なのです。
そうしたことを理解したうえで、今の問題を解決するためにはどうしたらいいのか、社会として未来のために何をすべきかを、考える必要があるのではないでしょうか。
ただ、皆がすべてを深く知る必要はないと思います。インターネットのまとめサイトで、知識を仕入れたっていい。それだけでも、現地の人々にとってはありがたいし、自身の意見も形成されていくはずです。
寄付やボランティアをするお金や時間がない場合は、無理にしなくてもいい。でも知識が増えれば、日本を含めた世界全体への理解も深まり、その人の成長にもつながる。双方にメリットがあるのではないでしょうか。知るということは意外と大きなアクションだと、僕は思います」
日本に生きる我々は、現時点では戦争などの具体的な被害にはあっていなくても、「このようなことが起こり得る世界」に生きる当事者である。この世界をどう理解し、対峙していくのかを考え、問題解決のために何が必要なのかを議論することが、ひとつのアクションになると、マックスさんは言う。
父の背中と対峙しつつ、進むべき道を探して
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