最高哲学責任者(CPO)で会社はどう変わるか? エシックス(倫理)と資本主義を考える(4)
東洋経済オンライン / 2024年11月5日 13時0分
フェイスブック経営陣は「いいね!」ボタンについて批判的に議論し、そこには中毒性があることに気づいていました。社会的に問題のある機能であるかもしれないという脅威を認識しながら導入に踏み切ったのです。CPOはこのようなプロセス全体を監督し、自由と解放の約束の間の緊張を予測するでしょう。
CPOの果たす役割
名和:当時、フェイスブックにCPOを設置していたのですか。
ガブリエル:あくまでも架空の話です。CPOがいたならば、フェイスブックという企業名で存在したでしょう。しかし、メタとしてリブランディングせざるをえなかった。今もフェイスブックのサービスは残っており、技術的にも深い変化がありましたが、まだ足りていません。だからメタ帝国は非常に不安定です。
CPOは社内のあらゆる階層に、道徳的事実を尊重することを徹底させます。だからこそ、CPOチームには経済学者も入れて活用しなければなりません。CPOチームは企業にとって新たな経済的機会を突き止めることができます。
これはダウンレギュレーション(下方制御)ではなく、アップレギュレーション(上方制御)の一環です。人々はこうしたものを望んでいるようです。
名和:道徳的事実には普遍性があるかもしれませんが、倫理観や道徳観には国による違いもありそうです。CPOの役割はグローバル共通でしょうか。
ガブリエル:最近、ダイバーシティ(多様性)に関心が集まっていますが、アメリカと日本では関心の持ち方が異なります。日本には、アフリカとの植民地支配の歴史はなく、極端な貧困問題もありません。
社会正義、経済的不平等など問題の種類や考え方がまったく異なるので、日本のCPOはアメリカのダイバーシティ研修をコピーすることはできません。日本におけるダイバーシティとは何か。自分たちの会社ではどうか。対外的にどうかと考えなくてはなりません。
道徳的なレンズを通して会社を見ていくと、たとえば製品によっては、日本社会への影響を研究する社会学者が必要になるでしょう。基本的に、こうした社会的、道徳的な検討はすべて自分たちの置かれている環境の中で行います。
誰にCPOが務まるのか?
名和:CPOは最初に内側に目を向けて、内なる魂を見よと指摘されている点は興味深いですね。哲学者や経済学者などの外部人材が、その会社を深く観察し、その魂を学び、外部の視点、その領域の専門家の視点で考えていくのですね。
ガブリエル:倫理資本主義を体系的に実現するための1つの始め方は、ビジネスコンサルタントを登用することでしょう。外部の専門家は最初に企業から学ばなければなりません。その後、社内にCPOを置く段階に進みます。
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