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東京に「座るにも金が要る街」が増えた本質理由 疲れてもカフェに入れず途方に暮れるあなたへ

東洋経済オンライン / 2024年11月6日 8時30分

ただ、こうした行為は日本人からは不評で、しばしばインバウンドに対する批判として上がるポイントでもある。

公共空間づくりについて語る際によく言われるのは、日本の都市には「広場」と言われるものがなく、広場慣れしていない、ということだ。確かに外国にあるように街の中心地の広場で休む、みたいなことを日本で想像するのは難しい。日本の駅前広場は往々にして閑散としている。その点、外国人のほうが、街中のスペースを使うことに躊躇がない感じがするのは確かだろう。

「広場化」に向けられる冷たい視線

しかし、かつて日本人は、空間を「広場」にすることに慣れていた。建築評論家の伊藤ていじは、日本の広場は「広場化することによって存在してきた」(都市デザイン研究体『日本の広場』/2009年・彰国社)という。

例えば、かつて新宿駅西口では「新宿駅西口フォークゲリラ」という反戦活動が大規模に行われたことがあったが、これも本来は駅の通路に過ぎない場所を「広場」のように使って行われたものだった。また、団地の通路なども広場のように使われている事例もあって、日本人が貪欲に空間を「広場」にしてきたことがわかる。

広場という空間が最初から与えられるのではなく、そこを広場のようにしていくのが日本人の特徴だったのだ。かつて渋谷にいたジベタリアンなどは、まさに広場化の典型例だったのかもしれない。

しかし、先ほども触れたような再開発の進展や防犯意識の高まりによって、こうした広場化のきっかけがなくなっていたり、抑えつけられているのではないか。実際、現在では地べたに座ることや、本来座る場所でないところに座る行為には厳しい目が向けられる。昨今のトー横キッズたちに対する厳しい視線もこれを表しているだろう。

そうした意味で「他人の目」を気にすることも、渋谷が「座りにくい」街の1つになっている理由だと、筆者には思えるのだ。

こうした理由が絡み合いながら、渋谷は「座りづらい」街になっている。あるいは、週末はどこのカフェも激混みの様相を呈してくる。

しかし、こう見ていくと、こうした現象はなにも渋谷だけでなく、日本全国のあらゆる場所で起こっていると思えてくる。例えば、新宿だ。

新宿や、他の街も「座れない街」になってきている…?

昨年歌舞伎町に誕生した「東急歌舞伎町タワー」は、高層階にラグジュアリーホテルが入り、中層階に入る映画館も「109シネマズプレミアム新宿」といってプレミアム仕様。ちなみにこの映画館の通常チケットは4500円からで、グレードの高いシートは6500円になる。なかなかのお値段だ。

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