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「カンブリア宮殿」放送開始18年経ても快走のナゾ 一時の勢いだけでは「企業も経営者も取り上げない」

東洋経済オンライン / 2024年11月7日 11時30分

これは野球で例えるとルーキーから大ベテランになってもずっと150kmストレートを投げ続けている剛速球ピッチャーという印象を受ける。『ニュースが伝えないニッポン経済』というコンセントを変えずに、硬派な経済トーク番組を貫いているのはなぜなのか?

「番組を制作する中で我々は視聴率と闘っていますが、『ニュースが伝えないニッポン経済』というコンセプトのもと、セットの豪華さ、番組の構成、VTR作りに落とし込み、通常のトーク番組とは一線を画するものを提供してきました。ずっと変えずに続けてきたことが支持されて結果的に長寿番組になったのではないかと思います。そのときどきの流行りの事象を見せる番組はいくらでもありますが、『企業の経営理念』『経営者の思考と手法』『困難や壁の乗り越え方』という部分をきちんと見せてくれる番組は『カンブリア』しかないと自負しています」(鈴木氏)

これまで数多の番組が誕生していって、各々の理由で終了していった盛者必衰のテレビ業界。その中で『カンブリア』にもピンチや危機的状況に陥ったことがあったのか? そう聞くと、鈴木氏から意外なコメントが飛び出した。

週1回、1時間枠では足りないほど「ネタは尽きない」

「これが不思議とピンチはありませんでした。『これだけ番組が続くと、取り上げる企業や経営者探しに困りませんか?』ともよく聞かれるんですが、私の実感としては真逆なんです。時代に合わせて、面白い企業や経営者の方はどんどん出てきていて、週1の地上波放送で1時間枠では足りないくらい、視聴者に知ってほしい企業や経営者がどんどん出てきています。

それから多くはないですが、過去に取り上げた企業や経営者が再度登場するケースも。これだけ番組開始から時間が経つと、過去に取り上げた企業や経営者を改めてリサーチすると興味深い変化もあって、別の経営者に変わって違った取り組みをしていたり、別の企業の経営者に転じていたりするんです。

そうした掘り起こし方ができるのが長年、放送してきた我々の強みなんではないかと。だからネタは尽きないですね」(鈴木氏)

鈴木氏には『カンブリア』のチーフプロデューサーとして番組制作をする中で大事にしている信念がある。

「時間が経っても色褪せない番組にすることです。一過性にならない内容をしっかり取り上げ、その裏側、視聴者が知りたいことを見せたいですし、見る方の仕事の役に立ったり、生き方の指針になるような金言を伝えていきたいです。ずっと心に刺さって残るような経営者の言葉をもっと引き出したいですし、それを視聴者に届けていきたいですね」(鈴木氏)

経営者をメインに深掘りする経済トーク番組『カンブリア』はこれからもブレないストロングスタイルを貫いていくのだろう。愚直なまでに「視聴者が何を知りたがっているのか」を追い求める番組が、今後何を見せてくれるのか、興味は尽きない。

ジャスト日本:ライター

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