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マツダの「斬新なブランド戦略」2日間のフェス MAZDA FAN FESTAが目指す「好き」という価値

東洋経済オンライン / 2024年11月7日 12時30分

ステアリングやペダルに見立てた輪やバットを操作して、ロードスターを仮想空間で運転できるだけでなく、エンジン内部や回転するタイヤの中に顔を入れて機械の作動状況を観察できるというもので、子どもだけでなく大人にとっても新鮮な体験である。

また、「XR Activity Lab」では、eスポーツのようなドライビングシミュレーターを使い、マツダのデザイナーが新たに作ったキャラクターモデルで、キメの細かい形状や色合いを駆使した仮想空間を移動する体験ができた。

自動車メーカー各社では近年、量産車開発や新しいサービス事業構築に向けて、仮想空間を使った研究開発を進めている。そんな中で、これらの体験型コンテンツは、「クルマの楽しさ」に直結するわかりやすさを重視している点が特徴だ。

鍛造から制御まで「モノづくり」体験

ピットビル内では、マツダの開発者や技術者が自ら考案した、子どもにも理解しやすいようなモノづくり体験や技術体験を行っていた。例をあげると以下のとおり。

・マフラー(消音器)の工作キット作成
・プレス技術の歴史と進化の体験
・ディーゼル(SKYACTIV-D)圧縮着火の再現体験
・エンジンの鋳造に対する説明
・鍛造でのスタンプづくり
・プラスチック廃棄物を素材とする射出成形体験
・子ども用のプログラミングによる車両運動制御の体験
・クレイモデル作業体験
・実車を使った子ども向けサービスエンジニア体験

クルマづくりからメンテナンスまで、現役社員がユーザーやその家族と直接触れ合う試みが盛りだくさんだ。

パドックエリアには、マツダ資本100%の10社を含む、新車販売企業各社やアフターマーケット関連企業など64社が出展。キッチンカーなど22社が、個性豊かなフードを提供した。

さらには、ロードスター35周年記念モデルの世界発表と開発者やデザイナーによるトークショー、プロミュージシャンによるスペシャルステージなども開催。1日ではすべてを見きれないほどの充実ぶりだった。

なぜ、マツダはここまでMAZDA FAN FESTAに注力するのだろうか。

マツダ耐久レースにも自ら参戦した毛籠勝弘(もろ・まさひろ)社長は、記者団の囲み取材で、「(マツダを中心とした)コミュニティによって(マツダの志への)共感が広がれば」と答えた。

また「マツダファンを中心に、(モノやことに)触れ合って楽しく過ごすこと、そこにマツダ社員が直接対応することが大切」という経営者としての視点を示すと同時に、昨年の開催時に「多くのお客様が『楽しかった』『また帰ってきたい』という声を聞いて感激した」と個人としての感情も踏まえて、規模拡大を決めたことを明かした。

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