ユニクロ、店舗スタッフを変えた仕組み化の効果 6割のボリュームゾーンの従業員が自ら動くように
東洋経済オンライン / 2024年11月14日 15時0分
社員ですら働くモチベーションはさまざまです。お金のための人もいれば、自分の夢のための人、スキルアップのための人もいるでしょう。非正規の方ならばさらに多様かもしれません。
もちろん、働くことを通じて自分の夢や理想を実現することが最も大切ですが、同時にユニクロの理念を「自分事化」してくれることが個人と組織が結びつきながら両輪で成長するには不可欠です。そのためにも「仕組み」が重要になります。
そのわかりやすい仕組みが教育であり、雇用体系です。店舗スタッフの正社員化を進めたのです。これまで非正規雇用が大半だった店舗スタッフを、「地域(リージョナル)社員」として正社員化する試みです。
具体的には2014年に日本のユニクロの店舗スタッフ1万6000人を地域社員に2〜3年で転換し、正社員を当時の3400人から約6倍の2万人に増やすという構想です。
地域に根ざした経営をするには、本当にお客さまと向き合う人でないとできない、正社員化によってコミットを高めたいと判断したわけです。
そのためには、待遇を高めて、人材の流出を防がなければいけません。すでにその時点で、少子高齢化で将来的に人材確保が難しくなるのは自明でした。当然、短期的には企業としてのコストは大きく増えますが、長期で考えれば、人材確保、採用・教育コストの抑制になり、メリットが上回ります。
この正社員の登用拡大によって、店舗のチームとしての一体感は非常に強まりました。やる気のあるスタッフにしてみれば自分の担当する部門で「経営者」として、大きなやりがいを持ちながら、自らのキャリアの未来も開けます。
スタッフひとりひとりの心に火をつける効果は、非常に大きいものがありました。店長の「自分はこんな店にしたいんです!」という志と、店舗スタッフの「自分は(担当部門を)こんな売り場にしたいんです!」という志が、共鳴し合いながら、究極の個店経営実現のための「最強のチーム」がつくられる土壌が整ったのです。
「スタッフのモチベーション向上」というとどうしても精神論になりがちです。個別に相談に乗ったり、対応したりして解決する空気がまだありますが、一気に変えられるのは「仕組み」です。
そして、チームや組織の規模が大きくなればなるほど、「仕組み化」の効果もまた大きくなります。
【ユニクロの仕組みの柱①】グローバルワン
ここまででもユニクロがいかに「仕組み」によって成り立っていて、運営されているかは理解できたと思います。「仕組み」が組織を大きく変え、成長・企業価値創出エンジンになってきたといっても言い過ぎではありません。ここからは全ての仕組みの土台となる考え方を改めて紹介します。
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