ユニクロ、店舗スタッフを変えた仕組み化の効果 6割のボリュームゾーンの従業員が自ら動くように
東洋経済オンライン / 2024年11月14日 15時0分
本気で勇気を出して挑戦しないからできないだけで、失敗してもいいと考えて諦めずに実行したらいつかはできる、無理だと思わずにやってみろということです。柳井さんは志を自らの言葉で語り続けることで、求心力を高め、リーダーシップを発揮し続けてきました。
志を達成するために、ミッション=使命、ビジョン=どうありたいか、アイデンティティ=存在意義を明確に掲げることで、賛同する人々の集合体としての会社をつくろうとしていました。これもひとつの「仕組み」です。
ただ、ビジョンが明確であればあるほど、賛同しない人も当然出てきます。うまく「仕組み」にはまらない人たちです。読者のみなさんも、仕組み化を考える際にぶち当たる壁になるはずです。
結論からお伝えしますと、「仕組み」を組織にうまく定着させるには、完璧を目指さないことが重要です。ユニクロでも全員の心に無理やりにでも火をつけるような姿勢はとっていなかったというのが私の解釈です。
「全員経営」を掲げていても、ひとりも漏らさずに働く人すべてを意識づけるのは無理です。小規模の組織だと全員に機能する「仕組み」を求めがちですが、これも現実的ではないのです。
「普通」の6割の人にいかに働きかけるか
北海道大学の動物生態学者の長谷川英祐氏が提唱した「働きアリの法則」をご存じでしょうか? 働きアリの集団を観察していると、働き者が2割、普通が6割、怠け者が2割いて、たとえ働き者のアリだけ、怠け者のアリだけを集めても、また2対6対2に分かれるという法則です。
人間の集団においても全体の2割の人間が意欲的に働き(自燃性人材)、6割が普通に働き(可燃性人材)、残りの2割が怠け者(不燃性人材)になる傾向があります。ユニクロも例外ではありませんし、100人の組織でも50人の組織でも、この法則は当てはまります。
確かに、「仕組み」を定着させて効果を最大化させるには全員の心に火をつけられるのがベストです。ただ、「働き者」の割合を増やすのは簡単ではありませんし、資源も時間も限りがあります。仕組みを定着させるには、「普通(可燃性人材)」の6割のボリュームゾーンの人たちにいかに変わってもらうかに注力することが鍵となります。
もちろん、「怠け者」の2割の人にも働きかけますが、強く働きかけたところで、なかなか変化は見られません。一方、「働き者」の2割はこちらから強く働きかけなくても自発的に動いてくれる特性があります。自発的に新しい提案や変革を起こしてくれます。
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