採用した外国人をすぐに逃さない企業側の秘訣 「なぜこの人材が自社に必要か」を徹底する
東洋経済オンライン / 2024年11月14日 9時30分
沖縄・石垣島にある石垣港離島ターミナルの向かいという絶好の場所に建つ「南の美ら花ホテルミヤヒラ」。1953年、アメリカ統治下に「宮平旅館」として創業され、沖縄県石垣市に本社を置いています。
美ら花グループは、石垣島で最も古い居酒屋といわれるミヤヒラ商事株式会社「やいま家庭料理 さつき」や、ニッサンレンタリース石垣、太洋リネンサプライ、太洋フーズ、太洋リネンサプライ、(株)ゆい、加屋真島観光開発など7つのグループ企業を展開しています。
創業者の実娘である宮平ヨシさんは、1957年にオリオンビールの命名を行ったことでも知られており、沖縄を代表する老舗企業です。
八重山地方に根差した老舗グループ企業でありながら、先駆的な取り組みも積極的に行っています。中でも、石垣島という離島で賃金がそれほど高くない場所にもかかわらず、外国人採用に成功している会社です。
試行錯誤を経てのスタート
この会社が外国人を採用したのは、2006(平成18)年のことで、日本国の事業として大手旅行会社が企画した日中友好事業の一環で、中国の武漢から技能実習生を受け入れるプロジェクトに参加したことがきっかけでした。
ホテル業界で技能実習生を雇用することは珍しく、当時使用していた、県外から来たリゾートバイト向けの寮を提供するなど「さまざまな試行錯誤を経てのスタートでした」と、当時採用に携わった島尻吉勝常務取締役は振り返ります。
2006年に初めて技能実習生として受け入れたのは2人、翌年は4人、3年目も4人と続きました。しかし、当時の制度では宿泊業で技能実習生を受け入れられる期間が1年間だけで、よい人材が中国から来てくれても、仕事を覚えたころには帰国しなければなりませんでした。
また、当時は日本人のリゾートバイトが流行しつつあり、日本人の人材が確保できていたことや、リゾートバイトは3カ月や半年など、繁忙期のみの短期採用が可能であったため、外国人採用は一時中断しました。
しかし、2018年ごろから日本人のリゾートバイトの採用が難しくなり、外国人採用で成功しているホテルも増えたことから、外国人採用を再開しました。
当初は、中国や台湾、フィリピンなどからインターンとして半年から1年間働ける外国人を増やしていきました。しかし、インターン生は日本の制度上1年間しか雇用できず、そのうち半年間は教育期間に充てる必要があったため、実質的には半年間しか戦力となりませんでした。
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