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あのヨーグレットが気づけば「グミ化」一体なぜ 多くの大人が「懐かしい!」長年の課題を攻略へ

東洋経済オンライン / 2024年11月15日 8時40分

それ以外の層が「自分の消費のために」訪れることは比較的少ない。このため自然と目にする機会が減り、手に取らなくなってしまうのだ。

大人もよく利用する、いわゆる袋菓子や箱菓子などの棚か、その近くにあれば、空白期間は空かないのかもしれない。ヨーグレットやハイレモンの味わいは、甘さ控えめで適度に酸味もあり、大人にも十分通用するからだ。そこから言えば、現在人口のボリュームゾーンである高齢者にも、十分選ばれる可能性がある。

山下社長も、「少子高齢化が進む今、シニア層の攻略は大きな目標です。ヨーグレットの誕生は1979年で、ハイレモンはその翌年です。幼い頃食べた方々が、今から高齢層に入っていきますから、選択肢に加わるのではないかと考えています。『昔食べたよね』という記憶が存在することが、1つの武器になるのではないでしょうか」と期待を寄せる。

ただし、競争の激しいお菓子の棚を移動することは、一朝一夕にできることではない。そこで、「大人にとっても自分のためのお菓子としてのブランド認知を高め、消費者を拡大しよう」という作戦の1つがグミだったのだ。

市場動向とブランドの強みが重なった

では、なぜ「グミ」だったのか。ここからは、グミ版が生まれた経緯を追っていこう。前述した通り、大人が自分で購入するお菓子に変えるためには、売り場を変える必要がある。だが、現在の小箱入りスタイルでは「駄菓子」に選別され、他の売り場への進出が難しい。

「そこで、包装形態を変えたり、他のお菓子にして、ブランドイメージから変えていけばいいのでは? というアイデアが生まれました」

生産企画部長で、商品開発を統括する高宮隆一さんは、開発のきっかけをこのように振り返る。

また、この「他のお菓子」が他でもないグミになったのには、菓子の市場動向が大きく関係していた。前述した通り、グミはこの10年で2倍に成長している注目の市場である。

産業分野における市場調査レポートを提供するSurveyReports社の調査によると、2023年の世界のグミ市場規模は242億米ドル(約3兆6300億円)だ。さらに、2033年末までに567億米ドル(約8兆5050億円)まで拡大すると予測されている。年平均成長率(CAGR)に換算すると、約8.9%もの高成長が見込まれているのだ。

POSデータから菓子カテゴリーごとの購入者特性を分析した結果でも、グミ購入者は20~30代の構成比が高いことがわかった。加えて、ヨーグレット、ハイレモンの味を「最も再現できるお菓子」を考えた際に、「グミが適任ではないか」という意見も上がったという。

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