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あのヨーグレットが気づけば「グミ化」一体なぜ 多くの大人が「懐かしい!」長年の課題を攻略へ

東洋経済オンライン / 2024年11月15日 8時40分

これらの要因を総合して、ヨーグレットグミのブランド強化を意図したリニューアル方針が決まったのだ。

「20代、30代に支持されているグミをつくることで、まずは若年層の大人を攻略するとともに、ブランドの強みも生かせるのではと考えました」(高宮さん)

40年前に「大人向け」に開発されていた

ここで少し、グミの原点である、ヨーグレットとハイレモンの成り立ちに触れておきたい。両者はいずれも、発売から子供に愛され続けるロングセラー商品だ。幼児、小学生の親を中心に選ばれる理由について、「誰でも食べやすいおいしさ」と、「少しヘルシーな要素」ではないかと高宮さんは分析する。そしてこれらは、約40年前の開発当初に商品コンセプトとして設計されたものだという。

「ヘルシーな要素」というコンセプトは1970年代にしては新しいのではないか。そう問うと、きっかけは、サプリメント市場が早くから確立された欧米を視察したことだったそうだ。

「サプリの要素をお菓子に取り入れてヘルシーな訴求をしたら、日本発で新しい価値が提案できるのではないか」と着想したという。だからカルシウムが入るヨーグルト風味と、ビタミンCが入るレモン風味になったのだ。

さらに、ヘルシー感を出すために包装も薬をイメージ。錠剤のように、銀紙からパチンと押し出すタイプが採用された。

と、そこで筆者にひとつ疑問が湧いた。「ヘルシーな要素」のお菓子を、子供向けにつくるものだろうか……?

実は開発当初、ヨーグレットとハイレモンの顧客ターゲットは、子供ではなかったそうだ。メインターゲットに据えていたのは、20代、30代の子育て世代、特に女性。その子供ではなく、あくまで本人が食べるものと位置づけられていた。

ところが販売してみると、一緒に子供も食べるようになり、幅広い世代に支持を受けたそうだ。そしてだんだんと、30代、40代のママが「子供向け」に購入する形が中心になっていったという。それが今再び、グミを出して、消費者の裾野を大人に広げようとしているというのは不思議な話だ。

ちなみに、錠剤をイメージした包装から、「パチンとタブレットを取り出す作業」は、他のお菓子にはない体験として子供たちに歓迎された。

偶然の産物だが、子供にとっては、「大人になったような感覚」のある独自の食体験としてウケたのだ。これは他メーカーの製品だが、「タバコを吸う真似をする」シガレット型の菓子が流行したのと同じような原理かもしれない。

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