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工房職人の技「金子眼鏡」高級ブランド化への軌跡 低価格チェーン隆盛の中で"逸品"を訴求

東洋経済オンライン / 2024年11月17日 7時30分

小さな眼鏡卸問屋から高級ブランド「金子眼鏡」に成長(撮影:佐々木仁)

メガネは、もともとの視力矯正用器具に自分らしさを演出するファッション要素が加わり、複数を所有する人も多い。価格帯も幅広く、日本のメガネ装着人口は約7600万人(総人口の約6割)といわれる。

【写真を見る】こだわりが詰まった職人シリーズなど

「JINS」や「Zoff」など低価格チェーンが目立つ市場でファンを広げているのが「金子眼鏡」(かねこがんきょう)だ。レンズ+フレームの一式で平均価格帯は「7万6017円」(2025年1月期の上期累計実績)。例えば一式「7000円」(+税)の競合商品と比べれば10倍以上する。

運営会社は2023年11月に株式上場を果たしたJapan Eyewear Holdings(以下JEH)で、「金子眼鏡」以外に「フォーナインズ」なども保有する。

今やドラマや映画で人気俳優が着用するブランドとしても知られるようになったが、66年前の創業時は福井県鯖江市の小さな眼鏡卸問屋からのスタートだった。

【写真】高い技術を持つ職人のこだわりが詰まった職人シリーズや、洗練された雰囲気が漂う店舗内観など(8枚)

コロナ前から売り上げは1.5倍に

なぜハイブランドに変貌を遂げ、国内のみならず海外客からも支持されるようになったのか、2代目の金子真也社長に聞いた。

「金子眼鏡はさまざまな商品を展開していますが、最初に注目されたのは鼻パッドのない“一山”(いちやま)仕様でした。現在はエイジレス・ジェンダーレスに幅広いお客さまにご購入いただいており、30~60代の上質な大人の顧客層が中心です。

金子眼鏡ブランドとしての売り上げは2019年8月期が54億4300万円でしたが、2024年1月期は85億1100万円となり、コロナ前に比べて156.4%となっています」(金子真也社長)

平均価格帯は前述のとおり7万円超だが、海外にも店舗を持ち、例えば中国・上海の販売価格は国内の2倍以上だという。なぜ、高くても売れるのか?

「商品の価値と価格をご理解いただいた結果だと思います。金子眼鏡は福井・鯖江に切削から仕上げまで行う3つのファクトリー(工場)を持ち、分業制が多い業界では数少ない、企画から生産・販売まで自社一貫で行っています。一連の取り組みが評価されて以降、人気が定着しました。そのブランド価値が中国・上海の店舗でも評価されています」(同)

発祥地の福井県鯖江市は国内のメガネフレームの9割以上を生産し、世界的に高い評価を受ける生産地だ。特に評価を高めたのはチタン製メガネの製造技術で、「チタンのメッキ処理、カラーフレームの処理が上手なので商品が長持ちする」(業界関係者)という。

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