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「会社、辞めたい」の原因は4つの深層心理にあった 「離職防止」喫緊の課題になった時代の基礎知識

東洋経済オンライン / 2024年11月18日 12時0分

(「はじめに」より)

注目すべきは、そうした経験に基づく知見だ。離職を防ぐには、「人間が根源的に抱く4つの欲求」に基づいて部下のニーズを満たす必要があると実感したというのである。

部下は会社や上司に対して多様なニーズを抱いており、それらが満たされず、今後も満たされないと確信したときに離職を決意する。逆にいえば、部下のニーズを把握し、そのニーズを満たす対応をとれば離職は防げるわけである。そして「人間が根源的に抱く4つの欲求」こそが、そのニーズの基となるということだ。

では、その欲求とはどのようなものなのか? それぞれを確認してみることにしよう。

生存欲求――労働環境を整え、離職を防ぐ

生存欲求とは、「安心・安全に生きていきたい」と、食べ物や安全な住環境を求める欲求。ビジネスにおいては、特に給料と労働環境に関係する。

離職率が高い場合、現場の管理職の方々はその理由を「給料の問題」と捉えるケースが少なくない。「会社がもっと給料を払えば、部下も辞めない」という考え方である。ところが実際には、そう片づけられるほど単純な問題ではないようだ。

厚生労働省の『令和4年雇用動向調査結果の概要』における「転職入職者が前職を辞めた理由別割合」では、「給料等収入が少なかった」は男性7.6%、女性6.8%となっており、それ以外の人は別の理由で離職しています。

(41〜42ページより)

この結果からは、給料が原因で離職する人はさほど多くないことがわかる。そもそも採用時に年収が提示され、その年収に合意して入社し、その額がきちんと払われているのであれば、離職の原因をすべて給料のせいにするのは無理がある。

たしかに給料が少ないことも離職の原因のひとつではあるのだから、より高い給料を払えるようにすることも重要だ。とはいえ給料の額だけで離職率が決まるなら、給料が高い会社ほど離職率は低くなるはず。しかし現実的に、給料は高くても離職率の高い会社はいくらでもあるだろう。

給料に対する不満は決定的な離職要因とはならず、1つの不満として心の中に積もっていきます。

それに加えて、上司や会社への不満、職場の居心地の悪さ、仕事内容への不満、労働環境に対する不満、会社や業界に対する不安などが積み重なり、許容量を超えると離職を決意するのです。(43ページより)

関係欲求は、良好な人間関係を築き、人から認められたいという欲求である。

関係欲求――人間関係による離職を防ぐ

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