「会社、辞めたい」の原因は4つの深層心理にあった 「離職防止」喫緊の課題になった時代の基礎知識
東洋経済オンライン / 2024年11月18日 12時0分
仕事を通じて成長欲求を満たしたいというニーズの強さは、人によって異なります。
より多くの経験を積んでもっと仕事ができるようになりたい、スキルアップしたい、望むキャリアを築きたいという人もいれば、仕事は給料のためにやっているだけだから、最低限のことだけやってさっさと帰りたいという人もいます。
そのため、まずは各人のニーズを把握することが重要です。
(131ページより)
こういったニーズを把握せず、「若手はストレスに弱いから、ハードに仕事をさせてはいけない」と思って仕事の負担を軽くしたところ、「この会社はぬるいので、もっと激しい環境でもまれたい」と若手が辞めていくというケースもあるという。
それは離職の典型的なパターンのひとつでもあるようだが、その場合は成長意欲の高い人材を失うことになってしまう。会社にとっては、大きな痛手となってしまうわけだ。
また、成長意欲が強く、残業をも厭わず仕事に取り組んでいた人でも、結婚したり、子どもができたりすると、「プライベートを優先したい」とニーズが変わることもあるだろう。その結果、残業がない会社に転職することも考えられる。そこで、本人の意向は定期的に確認する必要があるのだと著者はいう。
そしてもうひとつ。
成長欲求の強い人は自分の市場価値を意識する人が多く、年齢とともにスキルや実績を着実に積み上げようとします。
そのため、成長しないまま歳をとることに焦りを覚え、業務を通じて成長している実感が得られなかったり、仕事がマンネリ化したりするとモチベーションが下がり、それが離職の要因となります。
(132ページより)
そういう意味でも、つねに本人の様子を観察することは上司の重要な役割だといえそうだ。
最後は、公欲が満たされないことによる離職のケースだ。
公欲――やりがいを持たせ離職を防ぐ
公欲とは、人に喜んでもらいたい、人や社会の役に立ちたいという欲求です。
ビジネスにおいてはお客様や上司、部下から「ありがとう(ございます)」と感謝されたり、自社の商品・サービスが多くの人を幸せにし、社会の役に立てていることが実感できたりすると公欲は満たされます。
そして公欲が満たされると、仕事にやりがいや意義、誇りを感じます。
(188ページより)
どんなときにやりがいを感じるか、その答えは人それぞれだが、お客様や上司、あるいは部下など、誰かに喜んでもらえたときにやりがいを感じることも多いのではないだろうか。著者によれば、やりがいの心理は経営心理士のなかでも重要な論点として位置づけられているようだ。
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