起業したい会社員に「アイデア不要」と伝える理由 起業の正攻法は「すでに自分ができていること」
東洋経済オンライン / 2024年11月24日 17時0分
今、誰もが起業に挑戦できる時代です。学歴や職歴、資金に関係なくスタートラインに立つことができます。しかしその一方で、起業にはリスクが伴います。準備不足のまま始めれば、大金を失う可能性や周囲への迷惑も避けられません。
25年以上にわたり6万人超の「起業したい会社員」を支援してきたキャリアカウンセラーの新井一さんは、「会社員生活を続けつつ、小さく始めること」を提案しています。起業に対する具体的な考え方を、著書『起業神100則』より一部抜粋・再構成してお届けします。
アイデアがある人は「やり直し」
「起業したい」と考える人は、多くの場合、起業アイデアを持っています。しかし、逆に「起業したいのにアイデアが見つからない」「まとまらない」と苦しんでいる人もいます。ですが、私は「最初はアイデアなんていらない」と考えています。むしろ、基礎知識がない状態でのアイデアはただの思い込みであり、実は危険なのです。
考えてみてください。例えば、あなたの本業の会社で、業界のことを何も知らず、就業経験もない大学卒業したての新入社員が「絶対儲かる事業があるので、やらせてください!」と言ってきても、誰もその提案を受け入れないでしょう。
筋トレの知識や経験が全くない人がトレーニングメニューを組むのと同じようなものです。それを実行することはできないでしょうし、やったところでむしろ体を壊してしまいます。もちろん、全否定するつもりはありません。
中には画期的なアイデアがあるかもしれない。しかし、「自分の強みが分からない」「保有しているリソースの洗い出しもしていない」「マーケティングのことを何も知らない」「インフルエンサーほど知名度があるわけでもない」。そんな人が考えた儲け話がうまくいく可能性はどれくらいのものでしょうか。
起業の正攻法は「すでに自分ができていること」を知ること
以前、このような方がいらっしゃいました。自分が考えた便利グッズを商品化したいと考えていたYさん。彼女は自前のネットショップで販売するのではなく、大手メーカーで製造&流通をしてもらうことを想定していました。つまり、商品を売るのではなく、企画開発自体をサービスとして提供する構想を持っていたのです。
しかし、実際にオリジナル商品のアイデアを手紙で書いて企業に持ち込んでみると、どこも丁寧に返事はくれるものの、それ以上の話には進展しませんでした。ほぼ門前払いのような状態です。これは当然の結果だったと思います。
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