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京都の老舗を支える「よきパートナー」という思想 自社だけでなく、客や取引先とともに成長する

東洋経済オンライン / 2024年11月25日 14時0分

お茶を点てるには、茶碗や湯釜などの茶道具が必ず必要です。三千家では、お茶を点てるときに「利休好み」といわれる茶道具を使います。利休の茶風を守るには、茶の点て方を継承するだけではなく、道具をつくる職人を承継し続けることも必須でした。

お茶に必要な道具、中でも利休好みの茶道具をつくる職人の家を職家(しょっか)といい、現在では十職の家柄が指定されています。千家十職(せんけじっしょく)とは、利休好みの茶道具をつくる職人の10の家柄をいうのです。 三千家の家元と、その茶道具をつくり続けてきた十職。両者もまた、ただ、商品を使う客、商品をつくる職人といった間柄を超え、どちらが欠けても成り立たないパートナーといえるでしょう。

イトーヨーカ堂、セブン-イレブン・ジャパンの創業者である伊藤雅俊さんは、「商いの心」として、「銀行は貸してくださらないもの」「お取引先は売ってくださらないもの」「お客さまは来てくださらないもの」と生前におっしゃっていたそうです。

商売の中では、なんだか勘違いをして、客だったら何をしてもいいかのように、横柄な振る舞いをする人をたまに見かけます。でも、本当は商品を買う側と売る側は、よきパートナーであるはず。売る商品をつくってくれる人がいて、売る商品を売ってくれる人がいるからこそ、商売が成り立つはず。

平安京から幕末まで、1100年という長きにわたり、政治、文化の中心とし、1200年の歴史を持つ古都、京都。京都の歴史とともに、お家元と千家十職は、お互いが無くてはならない存在として、互いに切磋琢磨、古きを守り、時代に併せて柔軟に成長し続けているのです。

自社だけでなく、お客さまとともに、取引先とともに、一緒に成長し続ける究極のモデルが京都にはあるのです。

教科書で学ぶ歴史とは「リアリティ」が違う

京都は794年から1869年まで、1075年もの長期間にわたって、日本の首都でした。また、第2次世界大戦で空襲の被害が少なかったこと、災害が少ないことも歴史的な建造物を後世に残してきた要因です。

そんなこともあり、京都で育った私たちは、知らず知らずのうちに、自然に歴史を振り返る機会に恵まれてきました。たとえば、金閣寺と銀閣寺。

子どものころ、初めて行ったときは、ご多分に漏れず「金閣寺って、ホントに金なんだぁ!」そして、「え〜⁉ 銀閣寺って、銀じゃないの⁉」という驚きとともに「誰が、いつ、なんのために建てたんだろう?」と考えるようになります。

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