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京都の老舗を支える「よきパートナー」という思想 自社だけでなく、客や取引先とともに成長する

東洋経済オンライン / 2024年11月25日 14時0分

京都御所だって、そう。子どものころから身近な遊び場でした。そして、「なんで、天皇陛下は東京に行かれたんだろう?」という疑問を持ちます。幕末維新の舞台も、いまも多く残っています。そんな歴史的な建造物が京都にはたくさん残っており、いやが上にも歴史を振り返る機会ができます。

ただ単に、教科書で学ぶ歴史とは、リアリティが違うんです。現実の建物を見れば、歴史が本の中のおとぎ話ではなく、リアルに、人間が生き、考え、行動した結果であるという、なんとも言えないリアリティを持ちます。私は、このことは京都人独特の感性に結びついていると考えます。

794年、京都に都が遷都されました。この時代、誰が時の権力者だったのか。権力者、力を持つ人間は、時代とともに移り変わり続けます。天皇家、貴族、僧侶、武士、商人……。

それはなぜ? 何が力の源だったのか? 何が求心力だったのか?

なのに、なぜ、没落したのか? どんなときに?

平和が続いた時代の特徴は? なぜ?

そんなことと、自社の経営、会社のトップである自分自身と時の権力者を自然と重ね合わせるのです。

こんなこともあります。京都の東寺にある五重塔。これは伝統的な木造建築の中では日本で最も高い建物です。高さは、55メートル近くもあるのですが、落雷や焼失で何度も建て直されてはいるものの1200年以上も地震で倒れたことがないのです。

この東寺の五重塔。実は、釘を使っていない建築です。だから、さびない。1200年以上も昔につくられたこの革新的技術こそ、SDGsの時代の救世主として見直される動きもあります。現代の建築基準法とは別次元での安全性の担保と、すべて自然に返る素材。

いまなお生き続けている京都の「歴史建造物」

過去を振り返ることで、逆に革新を生み出す企業も多くあります。実際、五重塔のすごさを教えてくれたのも120年以上続く老舗企業であるお客さまです。老舗でありながら、社是は、「パイオニアたれ」です。

400年以上の歴史がある別のお客さまも、木造建築である五重塔や歴史建造物の話をよくされます。なぜ、1200年以上も経た現在に、「遺跡」とならず、現存しているのかと。世界を見渡せば、たいてい歴史的な建造物は「遺跡」となっています。でも京都にある歴史建造物は、いまなお、生き続けているのです。

そんなことを頭の片隅に感じながら、経営をできるのが京都なのかもしれません。

アップルのCEOだったスティーブ・ジョブズは、京都には何度も足を運んでいました。アップルの製品は、ただの電化製品という次元を超え、熱狂的ファンを持っています。その要因は、iPhoneに代表されるように、まったく新しい技術での革新的製品であること。加えて、美しさ、芸術性、製品にこだわる念(おも)いの深さが製品に乗り移り、熱狂的なファンをつくっているのかもしれません。

その昔、それぞれの時代で「ありえない」「信じられない」を生み出し続けてきた人類。1000年以上たったいまでも、人々の心を打つ建造物のように過去を振り返るからこそ、革新が生まれるのです。

入口 純子:税理士、アンビシャスグループ代表

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