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アルファード対抗も「中国ZEEKR」の先端クルマ作り "ギガキャスト"活用、電池含め生産自動化徹底

東洋経済オンライン / 2024年11月28日 11時30分

寧波の杭州湾工場に話を戻すと、ロボットはABB、KUKAなどドイツ一色(ただし、KUKAは中国の美的集団傘下)だった。工場内は5Gに対応しており物搬はAGV(自動搬送車)ロボットが800台稼働している。人員は200人だが、ロボットの管理者が多い。

そのロボットの点検はARゴーグルを使ってAIがチェックし、人間はスクリーンを見ているだけで修復ができるというのだ。従って、工場内は電灯も薄暗く、人の作業に適さない暗い工場で電力消費を抑えた設計なのだ。

驚いたのは混流生産方式において自動で治具が入れ替わる仕組みだ。治具ごと入れ替わる工場は見たことがなく、新しいクルマの作り方がここにあると感じる景色だった。もちろん人は介在しておらず、自動で入れ替わるのだから管理さえしっかりできていれば、正確にモノが作られていくということか。

謎の工程と自動化の徹底

ユニーク、というか不思議な工程もあった。「応力釈放」と説明を受けた激しい衝撃で締め付けすぎを緩める工程だ。完成車が凸凹の上を20km/hほどの速度で通過し、車体に振動を与えることで締めすぎたボルトを緩めているのだという。一般的にボルト締めについては規定トルクで管理されていると思うのだが……。

また水漏れテストではシャワーラインで1.5トンの水を6分30秒浴びせるという。これほど長い時間を他社ではテストしないと説明していた。

そしてタイヤ装着も完全自動化されており、人は介在していない。左右前後同時にライン上で動きながらタイヤが自動装着される。30秒で4本の取り付けが完了していたが、ここまで完全自動化されたタイヤ装着は初めて見た。

こうした環境で中国自動車メーカーはNEV(新エネルギー車、EVやプラグインハイブリッド車)開発に取り組んでおり、その成果物としてプレミアムEVが日本にやってくる。エンジニアの国籍は多岐に及び、中国車といっても開発・生産は欧州のノウハウが満載されていることがわかるものだった。果たして日本のマーケットの懐は広いのだろうか、楽しみに待ちたい。

高橋 アキラ:モータージャーナリスト

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