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ホテル事業で260億稼ぐ「あの通販会社」の勝因 ベルーナ流「浪漫を感じるか」M&Aの舞台裏

東洋経済オンライン / 2024年11月28日 8時40分

ルグラン軽井沢ホテル&リゾート テラスからの絶景(写真:グランベルホテルグループ提供)

通販会社ながら、ホテル事業で急成長を遂げるベルーナ。国内外に26施設を所有しており、うち5施設は北海道に。2025年に、さらに2施設をオープン予定だ。売上高は、ホテル、賃貸、発電所とプロパティ事業を合わせて前期(2024年3月期)320億円。うち8割をホテルが占めている。

前編ではこの成功の理由を、「3つの満足度の向上の力と、マーケティング力をバランス良く発揮すること」と解説した。だが筆者が、「いやいや、もっとあるでしょう」としつこく聞いたところ、社長を務める安野清さんから、「浪漫」という意外なキーワードが飛び出した。ビジネスにおける浪漫とはいったい……!?

なぜ通販会社は、門外漢のホテル事業でここまで成功できたのか。経営手腕の核心に迫る。

投資リターンを最大化する「計算」と「浪漫」

ホテル事業にはリスクがつきものだ。莫大な費用をかけて建てたのに、集客できないこともままある。特に、自社でロケーションを厳密に選定していないM&Aでは、失敗はつきもの。安野社長は、「だからこそ、投資効率の見極めが重要です」と力を込める。

【画像16枚】ベルーナが運営する、絶景なホテルたち

「たとえば、沖縄の『ホテル浜比嘉島リゾート』は取得したものの、業績がはかばかしくありません。海が目の前で眺望は素晴らしいのですが、東シナ海に面していて、太平洋側に比べると集客力がいま一つなことが購入後に分かったのです」

そうなったときに、資金をかけてリノベーションをして集客力を高めるのか、その分を別のホテルに投資するのか?

「『良いものを良くする』のはいいのですが、『良くないものを良くする』のは非常にエネルギーが必要です。全て闇雲に投資するのではなく、ポテンシャルの高いホテルに投資して、低いホテルは客室単価を下げるなどの対応をしています。同じお金を使うなら、効率が良いところに使いたいですから」と安野社長。

投資効率の優先順位を精密に数値化して判断しているそうだ。そしてこの判断には、「浪漫を感じるか」も重要な基準だという。

「この地域で、うちだけは稼ぐ」意識で

「浪漫を感じる」とはどういうことか。ベルーナでは投資物件の選定において、外部から来た情報を基に、まずは幹部が現地に行って調査する。そこで期待が持てそうであれば、安野社長も必ず足を運ぶそうだ。

そして、五感を働かせながら物件を回り、「浪漫を感じるか」「気持ちよく仕事ができると感じるか」に耳を澄ませる。この2つがあれば、「損をしてでも、とにかくこのホテルをなんとかしてやろう」という気持ちが沸き起こるのだとか。実際、そう感じた物件は業績を伸ばしているという。

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