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ホテル事業で260億稼ぐ「あの通販会社」の勝因 ベルーナ流「浪漫を感じるか」M&Aの舞台裏

東洋経済オンライン / 2024年11月28日 8時40分

しかしながらもちろん、笑顔=楽ということではない。オペレーションについてはコロナ禍以後、清掃をアウトソーシングする以外は、社員もアルバイトも、マルチタスクでさまざまな仕事をできるように推進し、コスト削減につなげている。コスト削減といえば、駆体や客室のフォーマット化により低コスト化を実現しているホテルも昨今は多いが、「それはしない」ときっぱり。そこにも、「浪漫」が関わっている。

「新設するホテルは1軒ずつデザイナーを入れて、それまで建てたものとはひと味違った施設になることを目指しています。お客様が、ほかでもない『このホテルにきて良かったな』と浪漫を感じられることが大切だからです。立地、客室、雰囲気、すべてに浪漫は関わってきます。そこは強く意識しています」

「道楽」から主力事業へ

並々ならぬ浪漫への思い入れを聞いたところで、少し時代を遡り、ベルーナのホテル事業のはじまりを説明しよう。

約20年前、元々不動産業に関心があった安野社長の元へ、ビル買収の話が持ち込まれたのがはじまりだったそうだ。場所は渋谷の桜丘町。

230坪の土地で、取得してから賃貸経営、マンション建設、ホテル経営で迷ったが、「ホテルが面白いだろう」と、105室の都市型ホテルを建てたのだという。

だが、当時ホテル経験はゼロ。「とりあえず、全従業員を派遣社員で経営してみたら、意外とうまくいったのです」と回想する。これを皮切りに赤坂、新宿と次々にオープンし、順調に経営実績を重ねていった。

その後、2013年に花巻温泉にかつてあった『幸迎館』という旅館を買収し、『優香苑』としてリニューアルしたのを皮切りに、リゾートホテルの経営もスタート。『優香苑』は買収前の売り上げが4億円弱だったところを、2倍の8億円に伸ばした。

続いて2015年、福島にあった324室の『猫魔ホテル』を取得、『裏磐梯レイクリゾート』として経営をはじめると、こちらも1年で赤字から黒字に転換。リゾートホテル経営にも手応えを感じたそうだ。こうして、都市型ホテルとリゾートホテル、両方を経営する企業になったのだ。

ただし、売り上げは好調でも初期投資の大きさもあり、最初はビジネスとしては成り立たなかったという。それが成長し、たしかにビジネスとして意識したのは、ここ10年の話だそうだ。そして現在では、主力事業として真っ向から取り組んでいる。

しかし、当時のベルーナの主業は通販事業。社内で反対はなかったのだろうか。尋ねてみると、「元々ベルーナはポートフォリオ経営を行っている総合商社です。複数の柱を作って経営を安定させようという方針が昔からありました。ホテル経営もその延長線上ですから、違和感はなかったと思います。ただ、当時はここまで成長すると思わず、半分道楽の意識ではじめたのですが……」と屈託のない笑顔で返された。

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