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石破首相は地方創生でなく地方止血をやるべきだ 政策当局者の「大局観」は完全に間違っている

東洋経済オンライン / 2024年11月30日 8時30分

新しい「地方創生」戦略を打ち出す石破首相。だが筆者は間違っているという(写真:ブルームバーグ)

将棋でいちばん重要なのは大局観だ。

AIの発達で、大局観の概念も変わりつつあるが、それにしても大局観、つまり、現局面の基本的な判断が最も重要だ。

有識者の大局観のほとんどは間違っている

劣勢なら、我慢し続けて逆転のチャンスを待つか、あるいは押し込まれる一方なら、相手の動揺、ミスを誘うような勝負手を放つ必要がある。

優勢なら、じっくり押し切るか、あるいは決められる局面なら一気に決めてしまうべきだ。攻めるべきか、守るべきか、ピンチかチャンスか、まだ実は劣勢に見えても五分五分に近いのか、その判断が最重要である。

これはどのような世界でも非常によく当てはまる。企業経営でも、攻めか守りか、これが最重要であり、それさえ間違わなければ、企業は発展し続ける。もちろん、これは国家にも当てはまり、戦争、外交、選挙、内閣支持率コントロールなど、誰にでも直感的に通じるだろう。

しかし、個々の政策に関しても、もちろんこの大局観が最重要であるのだが、それは多くの人が見落としている。政府の政策、いや有識者の政策論議がほとんどすべて間違っているのは、彼らが大局観を間違っている、大局観というものを考えもしないことによるのだ。

例えば、半導体戦略。日本が復活し、世界をリードすることを目指すのはもはや無理なのだ。ほぼ10年前にそれは終わった。東芝も見捨てた。

それをいまさらなんだ。半導体受託製造世界最大手TSMCを呼ぶ。それは正しい。もはや負け組だから、勝ち組を大金はたいて呼んでくるしかない。研究・開発は、ニッチプレーヤーとして、勝ち組のための製造装置、勝ち組が必要な周辺技術、勝ち組の技術・製品と補完的な技術・製品の開発。徹底したフォロワーあるいはコバンザメ戦略をとるしかない。

この正しい戦略を阻止しているのは、政治家のプライドと、有識者の大局観だ。個々の企業はもちろん正しい大局観を持っているから(持たないところは潰れるから)、私に言われるまでもなく、そう動いている。政策だけが孤立し、迷子になっている。

例えば、経済成長戦略。GDPの大幅拡大。無理だ。高度成長時代、「バブル再来」を願うような、経済拡大(膨張)局面の再来を目指しているが、まったく逆だ。量は諦め、徹底して質を上げるべきだ。すでに企業は30年前に転換しているのに、国家戦略はいまだ量志向である。攻めばかりしている。

あるいは景気対策だ。消費を増やす。需要を増やす。違う。これは誰もが知っている。需要は足りているが、供給力が、質量ともに足りない。しかし、現実に打ち出される経済対策はほぼすべて需要対策だ。

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