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スシローが急拡大「デジタル回転レーン」の"凄さ" 消費者にも歓迎されるDX化の好例になっている

東洋経済オンライン / 2024年12月2日 8時30分

つまり、本来あるべきDX化とは、顧客への価値となるその会社の「核心(コア)」を見極め、それに通ずる部分をデジタル化し、その会社の価値を高めるべきだというのだ。デジタル化はその企業の顧客価値を見極めたうえで慎重に検討しなければならないことでもある。

デジローはスシローの「ワクワク感」を高めている

そう考えたとき、スシローにとっての「コア」とはなんだろうか。ここからは私の推測になるのだが、スシローの場合、その「コア」はやはり「ワクワク感」のような体験価値になるのではないだろうか。

というのも、技術の進歩によってすしの「安さ」「おいしさ」はさまざまな形でかなえられるようになってきたからだ。例えば、「魚べい」は「回らないすし」でありながらも安価であることを売りにしている。また、北海道の「根室花まる」や「トリトン」や千葉の「すし銚子丸」など、素材の味を売りにした回転ずしチェーンは素材の新鮮さやおいしさにこだわっている。こうした競合がひしめく中、スシローなどの大衆回転ずしチェーンの価値は「楽しい」という空間価値が大きなウェイトを占めると思う。少なくとも、そこで差別化をしなければ、その他ひしめく競合にやられてしまう。

その意味で、この「ワクワク感」を演出するDXこそが「デジロー」であり、まさにその顧客価値を増幅させる方向で、このDX化は成功しているといえるのではないだろうか。

デジローは、これから全国規模での拡大を遂げていく。そのため、この試みが全国規模で定着するかどうかは未知数だ。しかし、企業の価値向上としてDXを適切に用いているという点では、極めて注目に値する事例だと思うのだ。

谷頭 和希:都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家

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