住宅ローンに影響…日銀はどこまで金利上げるか どうして日銀は金利を上げるかわかりやすく解説
東洋経済オンライン / 2024年12月4日 9時20分
今年3月に日銀が17年ぶりの利上げ(マイナス金利政策解除)に踏み切ってから、わが国も金利が上がっていく時代を迎えました。7月には0~0.1%だった政策金利が0.25%となる追加利上げが行われました。
日銀は、年間8回行われる金融政策決定会合で利上げなど金融政策を決めます。次回の12月会合も2日にわたって行われますが、2日目の12月19日に発表される内容で、政策金利が現状維持となるのか、それとも追加利上げ実施になるか、が注目されています。
「金利が上がること」は、私たち一般の人の生活に大きな影響を与えます。そこで今回は「どうして日銀は利上げするのか」、そして「どこまで政策金利を上げるのか」をなるべく専門的用語を使わず多くの読者の方にもわかりやすく解説します。
日銀が使う政策金利とはいったい何か
日銀が使う政策金利は無担保コール翌日物金利です。無担保コール翌日物金利とは、銀行などの金融機関の間でお金を「今日借りて、明日返す」ときにかかる金利です。金融機関は「銀行の銀行」と呼ばれる日銀に一定額のお金を預けることが義務つけられています。この預金が法定準備預金額と呼ばれるものです。
極端な例でお話ししましょう。お客さんが銀行からたくさん預金を引き出したりすると、銀行が保有するお金に余裕がなくなります。しかし銀行は日銀に預けている準備預金を法定額に不足できないので、お金が余っているほかの金融機関からお金を借りてその残高を満たそうとします。
無担保コール翌日物はこのようなときに使われます。日銀は金融機関との間で国債の売買などから金融機関全体が保有するお金の総量を調節して、無担保コール翌日物金利を7月の会合で決めた0.25%に誘導しています。
政策金利が上がると、どんなことが起こるのでしょうか。住宅ローンを借り入れる際の変動金利も上がります。変動金利は無担保コール翌日物金利に連動していくよう設計されているからです。
そして短期で借りる金利が上がれば、通常は長期金利も上がります。短期での支払い金利が上がると、長期で借りる方に需要がシフトしていくため、結果的には金利を上げても十分に借りてくれる人が増えて長期金利も上がってしまいます。
住宅ローンでは35年間まで借りたときの金利で固定される「フラット35」が人気です。住宅金融支援機構のウェブサイトを使って、フラット35の借入金利の推移を見ると、日銀が利上げに転換する前の今年2月と比べると11月の金利は0.11%上昇しています(借り入れ期間20年以下、最低のケース)。
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