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住宅ローンに影響…日銀はどこまで金利上げるか どうして日銀は金利を上げるかわかりやすく解説

東洋経済オンライン / 2024年12月4日 9時20分

実際、日銀の植田総裁は7月の利上げ決定後の記者会見で、利上げ理由について「足元の円安が物価に上振れリスクを発生させている」と語りました。足元の円安リスクへの意識が日銀の利上げ理由の1つと見られます。

また、根本的な金融政策を行いやすくしたいということも理由にあります。将来、わが国が不景気になったときに利下げによる景気にアクセルを踏んでいく余力を作りたいということです。

植田総裁は4月の記者会見で「実際に物価が見通しどおりになれば、政策金利を中立金利の水準まで引き上げていく」と説明しました。日銀は「どこまで利上げするのか」の答えは、「中立金利の水準まで」となります。

中立金利は専門的にはテイラー・ルールと呼ばれる式などを用いて推計されますが、直観的に中立金利は①自然利子率②物価上昇率を足したものです。

そこで、①自然利子率と②物価上昇率について解説しましょう。

①自然利子率は「景気への影響が緩和的でも引き締め的でもない利子率」のことです。これは日本の国力全体から求められる潜在成長率と長期的に等しいものです。平たく言えば、日本国内でモノを生産するための設備や労働力などを充分に使った場合に達成できる成長率です。

その内容は①資本投入、②労働投入と③技術革新などの効率性の3つを合せたものになります。企業などが保有する設備(資本)を、国内の労働者が動かすことで製品が作られますが、技術革新などの効率性もあわせてどれだけ、生産が伸びるのかが潜在成長率になります。国内の設備や労働力には限りがあるため、限界を超えない巡航な成長率です。

中立金利を構成する「物価上昇率」とは

次に説明する物価の影響と分けて考えると、わが国の成長率が潜在成長率を下回る状態なら、その潜在成長率に達するまでは金融緩和的な政策を取ることで、実際の成長率を潜在成長率に近づける必要があるのです。

自然利子率(つまり潜在成長率)の具体的な水準に関しては、8月に日銀から出された論文「自然利子率の計測をめぐる近年の動向」でさまざまな手法による推計が紹介されました。

その結果、自然利子率は「-1%から+0.5%」とある程度の幅がある結果が示されました。潜在成長率の推計幅で下限はマイナスなのは、将来にわたって人口減による労働投入量の不足する可能性が背景にあるからです。

一方、中立金利を構成するもう1つの要因の②物価上昇率について解説しましょう。

日銀は2%の物価安定の目標を掲げてきました。11月22日に総務省から10月の消費者物価指数が発表されましたが、生鮮食品を除く総合指数が前年同月比で2.3%の上昇となりました。2022年4月から31カ月連続で2%を上回っており、足元にかけては日銀が掲げる目標は達成しています。

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