「巧妙化する詐欺」から親の財産を守る5つの備え 「特殊詐欺被害者」の約78%は65歳以上の高齢者
東洋経済オンライン / 2024年12月13日 17時0分
「70代、80代になった親を放っておけるのは、親が元気でいてくれるから」と語るケアマネジャーの田中克典氏は、同時に「放っておいている間にも、確実に親は老いていきます。そこは子の世代が肝に銘じておかなければなりません」とも指摘します。
そんな老親を、特殊詐欺から守るためのポイントを、これまで40年以上にわたって福祉の仕事に携わってきた田中氏の著書『親への小さな恩返し100リスト』から、一部を抜粋・編集して紹介します。
「認知能力」が低下していないかどうかを把握する
「離れて暮らす親が詐欺に遭ったらどうしよう」と心配する声をよく耳にします。
警察庁や自治体が注意喚起しているにもかかわらず、詐欺被害は一向に減る兆(きざ)しが見えません。警察庁の発表によると、振り込め詐欺など特殊詐欺の認知件数は、令和5年の1年間で1万9038件、被害額は453億円にのぼり、3年連続で増加しています。
特殊詐欺被害者の約78%を占めるのが、65歳以上の高齢者です。高齢の親は、まさに詐欺のターゲットになる危険性が高いのです。そんな魔の手から親を守ることは、幼い頃にさまざまな危険から守ってくれた親への大きな恩返しといえます。
特殊詐欺は、非常に巧妙化しています。たとえば「国勢調査」を装って、家族構成や資産などの個人情報を聞き出す。行政や警察など公的機関を名乗って接触してくる。最近では、SNSでのニセ広告で誘導し、著名人になりすましたフェイク動画で投資を呼びかけ、お金を振り込ませる詐欺が話題になりました。
巧妙化する詐欺から親を守るうえで大切なのが、まず親の認知能力が低下していないかどうかを把握することです。認知能力=記憶力と思いがちですが、記憶力だけでなく、判断力、注意力、理解力、危険を察知する能力などいろんな要素があり、年をとると、これらが全般的に低下します。
いくら親が「私は大丈夫。ダマされない」と言ったとしても、認知能力は確実に衰えていきます。子にとって親の衰えを感じることはツラいものですが、老化は自然の摂理。それを受け入れましょう。
一方で、何歳になっても投資などのお金儲けに興味がある人もいますし、異性への関心は老いてもなくならず、恋が芽生えるケースもあります。そういうときめきや恋への期待感につけこむ悪徳商法も横行しています。
イケメンの好青年が営業に訪れ、「腰の痛みが消えて、よく眠れますよ」という口車に母親がのせられて、高額なふとん一式をローンで買わされた、といったケースは珍しくありません。
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