「日本で下に見られても」ミャンマー人経営者の誇り 物件も借りられず融資もダメ…それでも日本で働く理由
東洋経済オンライン / 2024年12月15日 8時30分
テテさんの妊娠をきっかけにアメリカへの渡航を諦め、日本で会社を起業し成功するという決意を固めた2人は、居酒屋や焼肉店でのアルバイトを掛け持ちしながら、時には「東京で生活するミャンマー人は重いお米を自宅まで運ぶのに苦労している」と感じるとお米の配送サービスを提供するなど、小規模な事業にも積極的に取り組み、少しずつ資金を貯めていきました。
本国の一時の景気に沸いたものの…
2014年に中古車販売・輸出会社に就職し、そのノウハウを得たボボさんは、2017年に独立を決意。ミャンマーへの中古車輸出を目的とした貿易会社、株式会社 Z&H(ゼットアンドエイチ)を設立しました。
たまたま紹介された東京・板橋の事務所を借りることになりましたが、その近くにはミャンマーのお寺があり、多くのミャンマー人が集まる場所でした。
そのため、友人たちから「事務所だけではもったいない。何か商売を始めたら?」とアドバイスを受け、貿易会社のために借りた店舗でミャンマー食材店を開業することになりました。
ミャンマー国内では、2015年の総選挙でアウンサンスーチー政権が誕生しました。長年続いた軍支配に終止符が打たれ、初めて政権交代が実現したことで、国内は空前の海外投資ブームに沸き立ちました。このブームを背景に、ミャンマー経済は好景気を迎え、日本に渡航するミャンマー人も増加しました。
その流れを受け、「このタイミングで新たなビジネスチャンスがある」と感じた2人は、2018年にミャンマー人向けの日本国内インバウンド旅行手配事業を開始します。
テテさんは「国内旅行業務取扱管理者」の資格を取得。ミャンマー人に特化した細やかなサービスを提供したことで評判が広がり、現在では、ミャンマーから日本を訪れるインバウンド観光旅行の手配に加え、日本に住むミャンマー人向けにタイ、シンガポール、マレーシアへのツアーも企画・手配しています。
また、時にはアメリカやオーストラリアに住むミャンマー人からの依頼を受けることもあるそうです。こうした依頼に対し1件1件、真摯に対応する姿勢が高く評価されており、それが人気の理由となっています。
2018年、東京都内で焼肉屋を経営している友人から、「店の権利を買ってくれないか」と相談を持ち掛けられました。「食材店」と「旅行業」が順調だったことに加え、以前焼肉店で働いた経験もあったため、お店を買い取ることを決意。「焼肉 KIZUNA」として新たにスタートさせました。
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