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「日本で下に見られても」ミャンマー人経営者の誇り 物件も借りられず融資もダメ…それでも日本で働く理由

東洋経済オンライン / 2024年12月15日 8時30分

ボボさんとテテさんは、この苦境を乗り越えるために2人でアイデアを絞り出し、日本にはミャンマーのティーショップが存在しないことに気づきました。ミャンマー国内では、日が昇る前から「ラペイエ」と呼ばれるミルクティーや、「モヒンガ」といった国民的な麺料理などを朝食として楽しむ文化が一般的です。

しかし、日本にはそのような文化を再現したお店がありませんでした。これを「チャンス」と捉えた2人は、サイドメニューとして土日のみ朝7時から営業を開始することにしました。

もともと食材店を営んでいた経験から、ミャンマーの本格的な「ラペイエ」や、ミャンマー料理特有の調味料や食材の仕入れ先を熟知しており、より本格的なミャンマー料理を提供することが可能でした。

しかも、単にミャンマー料理を提供するだけでなく、「本物の味を日本の人々にも味わってほしい」という思いを込めてとくに注力し、こだわったのが「モヒンガ」の出汁です。出汁は「モヒンガ」の魅力の核であると捉え、毎日丁寧に仕込み、抽出されるナマズの出汁(エキス)スープでした。

日本にあるミャンマー料理店の多くでは、「モヒンガ」などの料理は調理に手間がかかり、調味料も独特で、ナマズで出汁を取るなどの工程が大変です。そのため、インスタント食品や大量に作って冷凍したものを解凍して提供するのが一般的なようです。

しかし、テテさんは自ら食材を仕入れ、本格的な調味料を使用し、毎日約4時間をかけて仕込みを行い、ミャンマーで味わえるものと同じような「モヒンガ」を提供しました。

ようやく1000万円の融資が可能に

「モヒンガ」は、ミャンマー人にとって日本人の「みそ汁」のような存在で、毎日でも食べたくなるソウルフードです。その本格的な味わいが口コミで評判となり、東京に住むミャンマー人の間で話題になりました。やがて噂が広がり、店は次第に繁盛し始めました。

コロナ禍ではありましたが、紅茶や軽食の提供には問題がなく、経営は次第に安定軌道に乗りました。また、池袋の隣駅である大塚やその隣の巣鴨地区には多くのミャンマー人が住んでいることもあり、地域の支持を得て繁盛が続きました。

現在では、来店する客層は日本人とミャンマー人がほぼ半々。ミャンマー人が肉汁水餃子を楽しみ、日本人が珍しいミャンマー料理を注文するなど、店はちょっとした文化交流の発信地となっています。

この成功を受け、ミャンマーティーショップの専門店設立を目指すボボさんとテテさんは、東京ではミャンマー料理の聖地とも称される高田馬場への出店を計画しました。偶然にも、元パチンコ店の休憩室だったという3階建ての物件に巡り合い、貸してもらえることになりました。

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